宮下公園の再開発をめぐって、渋谷区が土地を大幅に安く貸付けたことは不当だとして10日、住民が区に対して、約219億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
原告は渋谷区民と堀切稔仁渋谷区議会議員の2人。訴状によると、渋谷区は昨年6月、三井不動産と宮下公園の土地(約1万平方メートル)を30年間貸す定期借地権契約を結んだ。賃料は、227億円5000万円だが、これが大幅に安いという。原告が今年7月に不動産鑑定士に調査を依頼したところ、倍近い447億4500万円という価格になり、219億8800万円もの差が出た。
原告によると、渋谷区が2015年に実施した不動産鑑定には、宮下公園に建設される18階建てのホテルが含まれておらず、また定期借地権契約を結ぶまでの2年間で、地価が20%以上上昇しているものの考慮されていないという。堀切議員は、区民が損害を被ったと憤り「きちんと代金を支払うのか、工事を止めるのか、裁判で決着していきたい」と意気込んだ。
宮下公園(2017年撮影)
宮下公園をめぐっては、区が耐震工事を名目とした、大規模な再整備事業を計画。5階建ての商業施設と18階建てのホテルが建設され、公園は商業施設の屋上に整備される。区は東京五輪が開催される2020年の3月までに工事を終える計画だ。