東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会と東京都は4日、都内で海外メディアを対象に初めてのレセプションを開いた。世界30カ国、約300人のメディア関係者に対して、福島などの食材を使った料理を振る舞い「復興五輪」をアピールした。
今回のレセプションは、海外メディアに東京五輪の進捗状況を説明するツアーの一環で行われたもの。会場には、福島の野菜や果物、宮城の牛タン、岩手のホタテなどを使った料理が並んだ。冒頭の挨拶で、小池百合子都知事は「五輪で復興を後押ししたい」と話した。
レセプションで強調されたのは、東京電力福島第一原子力発電所事故から復興だ。復興庁の吉野正芳大臣がプレゼンテーションを行い、避難指示が出ているのは福島の2.7%であり、県内の空間線量率は、世界の各都市と変わらないと説明。「食品の放射性物質の基準は世界で最も厳しい。通常の生活が行われている」と述べた一方で、土壌汚染や、トリチウムなどを含んだ福島第一原発の処理水などについては触れなかった。
都は、8日から2日間、海外メディア向けに被災地メディアツアーを実施。サッカー競技で使用する宮城県のスタジアムや、福島県大沼郡の昭和村で行われるスポーツイベントなどを巡る。しかし、野球で使用する福島あづま球場や、福島第一原発周辺などの取材は行程に含まれていない。
いわき市議会議員の佐藤和良さんの話
OurPlanetTVの取材に対して、佐藤さんは「原発事故の被害を小さく見せようとしているのではないか。悲しい気持ちになる。被災者を切り捨てるようなものだ」と語った。