オリンピック
2018/02/14 - 05:00

報道されない五輪「負の側面」~練馬でシンポ

「メディアは「頑張れニッポン!」という報道ばかりで、五輪の本質を伝えていない。」
こんな怒りを抱く市民らが、平昌五輪開会にあわせてシンポジウムを開いた。タイトルは「東京五輪を考える」。約2時間にわたり、報道されない「五輪の問題点」をテーマに議論した。

主催したのは、練馬区在住の研究者やアーチストなどでつくる「練馬・文化の会」。スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんが基調講演をし、現在の五輪は、選手の人間性や平和への理念を置き去りにし、国家主義や過度な商業主義に走っていると批判した。

五輪は放送権などの問題もあり、マスメディアによる批判はダブーとなっている。谷口さんは、IOC(国際オリンピック委員会)が現在、莫大なコストがかかる五輪維持のためだけに、競技種目を増やしたり、複数の都市での分散開催を認めている現状を解説。「五大陸を網羅して、スポーツを通して相互理解を深め、人間の尊厳を大切にする平和な社会の建設に貢献する」という五輪の理念にもう一度立ち返るべきだと批判した。

国威発揚に利用を懸念

さらに、朝鮮半島情勢や平昌五輪に対する日本政府の姿勢について、侵略戦争の歴史に向き合っておらず、また平和主義という五輪の理念からかけた離れた態度をとっていると指摘。
近代五輪の提唱者であるクーベルタンが、「五輪が平和を促進することも、戦争を引き起こすこともありえる」と記していたことに触れ、アジアに心から謝罪をしないまま、日本政府は東京五輪を利用することで、むしろ戦争する国に進むのではないかとの懸念を表明した。

練馬区で教育問題に取り組んできた中川信明さんは、東京都教育委員会が2年前からオリンピック教育に力を入れていることを報告。公立の小・中・高等学校で学習読本が配布され、算数でオリンピックを扱うなど取り組みが進んでいるという。練馬区内では、陸上自衛隊朝霞訓練場で射撃競技が開催されることに触れ、子どもたちが応援旗の制作や、案内係としてボランティアに動員されることを心配している。中川さんは「子どもたちが射撃競技への間接・直接的に動員されるのであれば、銃や戦争文化に巻き込むことになる」と危機感を強めた。

関連サイト
練馬・文化の会
http://www.nerimabunka.com/

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