東京都内で初となる弾道ミサイルの飛来を想定した避難訓練が22日、文京区の東京ドーム周辺で行われた。一方、この避難訓練に反対する市民団体は「恐怖心をあおり、戦争に慣らす訓練だ。外交で戦争を防げ」と抗議活動を行った。
この避難訓練は、内閣官房、東京都、文京区の共催によるもの。訓練は、東京ドーム周辺にあたる地下鉄駅「春日駅」、「後楽園駅」や遊園地で行われ、近隣住民や会社員など約350人が参加した。午前10時すぎ、警報のサイレン音に続き、「ミサイルが発射されました」と放送が流れると、参加者は地下鉄への入り口など、あらかじめ決められていた避難経路を確認した。
内閣官房の末永洋之参事官は、訓練参加者への講評で、「ミサイル発射から10分足らずで日本の上空に飛来する。日本に落ちてくる場合は、8分から9分となる。的確な避難行動をとっていただきたい」と話した。文京区の成澤廣修区長は、「想定していない時に起きた時に、行動がとれるかどうか、家族や会社、地域の皆さんと話し合っていくことが大切です」と語った。
抗議行動を呼びかけたのは、全国のミサイル避難訓練に反対する「自衛隊・米軍参加の防災訓練に反対する実行委員会」など8団体で約60人が参加した。「戦争ではなく対話を!」というプラカードかかげた杉原浩司さんは、今回の訓練に対して、人を地下に移動させるだけで、訓練としては意味がないとし、「戦争のための準備をしているんだという空気をつくって、戦争に慣らさせる効果を狙っているのではないか」と指摘した。また、「日本政府は北朝鮮に対しても、アメリカに対しても対話を求めていくべき」だと訴えた。