福島第一原発事故
2013/08/28 - 21:11

避難解除に向け、規制委が「安心安全対策チーム」設置

原子力規制員会は28日、福島県内の避難指定解除準備区域の避難解除に向け、専門チームを立ち上げ、帰還促進策の検討を始めることを決めた。検討チームの名前は「帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム」。中村佳代子委員が座長に就任するほか、外部委員や原子力規制庁職員がメンバーとなり、9月初旬にも初会合が開催される。

この検討チームは、3月7日の復興推進会議会合と原子力災害対策本部会合の合同会議の場で、根本復興大臣が「帰還に向けた線量ごとの防護措置を検討してほしい」と要請したのが発端だ。大臣の発言をうけ、復興庁をはじめ、内閣府原子力被災者生活支援チーム、環境省、原子力規制庁などが連絡会議を開催し、半年をかけて、「帰還に向けた防護措置とはどのようなものか」といった検討を重ねてきた。検討チームでは、こうした検討を受けてまとまりつつある「安全・安心対策」施策案や各省庁のモニタリングデータや個人線量データなどに関し、ヒヤリングを実施。原子力災害対策本部が避難指示解除の実施を目指す12月までに、避難者が「どう放射能に向き合って生活していけばいいか」(中村委員)考え方を打ち出す。

メンバーは外部委員と規制庁職員で構成され、外部委員には、放射線医学総合研究所の明石真言理事、日本学術会議の春日文子副会長、福島県医師会の星北斗常任理事と福島県県民健康管理調査検討委員会と同じメンバーが3人含まれているほか、福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター国際連携部門の丹羽太貫特命教授が就任。このほか、震災がれきの広域処理問題や除染問題に関わってきた東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻の森口祐一教授が
参加する。また、規制庁からは、森本英香次長以下、 室石 泰弘監視情報課長ら5人がメンバーに加わるほか、関係省庁の職員もオブザーバー参加する。

こうした検討チームが立ち上がることについて、更田豊志委員は、「規制機関の本来の役割からは踏み出している」と指摘した上で、「検討チームの名称に「安全・安心」とある。安心対策というのは推進のための広報活動を指す向きもある。規制機関が安心対策という言葉を用いるには注意が必要だ」との見解を示した。

これに対し、田中委員長は「大事なことは今避難している人たちが、被ばくの健康影響について心配しているので、そうしたことを乗り越えられる提案をするのが大事。元の生活に戻れる
ように方策を考えてほしい。規制委員会の範囲を超えているかもしれないが、時代の要請だ」として、「最大限取り組んで、提案をお願いしたい」と語った。

復興庁の根本大臣は、原子力規制委員会での議論をもとに、現在、基本方針が定まっていない「子ども・被災者支援法」の支援対象地域について線量基準を決定するとしている。

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