22日に原子力規制委員長を退任した田中俊一氏は25日、340人の規制庁職員を前に「体力と能力の限りを尽くしてたどり着いた終着点。5年間の生きざまにいささかの悔いもない。社会からの負託に応えることができた」と退任の挨拶をした。
福島第一原発事故を受け、発足した原子力規制委員会の初代委員長として、田中俊一氏が就任したのは2012年9月。田中氏はその5年間を振り返り、「重い荷物を背負った山登りのようだった。頂上はなく、何合目に着いたのかさえ分からない。あえていえば頂上は原子力文明を享受するに値する安全文化であるが、決してたどり着かない山登りのようだ」と噛み締めた。
そして、「わが国の原子力の平和利用を担うのは原子力規制委員会と原子力規制庁の役割です。国民から信頼される原子力安全規制の新たな歴史を築き上げていくようにお願いいたします」と職員を激励。原子力行政への強い思いをにじませた。
9月22日に原子力規制委員会の委員長に就任した更田豊志委員長は、「福島第一原子力発電所では極めて困難な廃炉作業が続いている。安全の追求に終わりはないという初心を忘れずに皆さんと共に最善をつくす覚悟です」と述べた。