福島第一原発事故
2017/10/05 - 13:40

福島原発事故で国の責任を認める判決〜県外にも賠償命令

東京電力福島第一原子力発電所事故の被害者約3800人が損害賠償を求めていた集団訴訟で、福島地方裁判所は10日、国と東京電力の責任を認め、原告のうち約2900人に総額約5億円の支払いを命じた。原発事故をめぐる集団訴訟で国の責任を認める判決は今年3月の前橋地裁に続き2例目。国の過失を認める判決に、原告らは歓喜の声をあげた。

判決の中で、福島地方裁判所の金澤秀樹裁判長は「国が東京電力に津波の対策を命じていれば原発事故は防げた」と指摘。2002年に政府の地震調査研究推進本部が発表した地震の長期評価に関する信頼性を認めた上で、少なくとも同年12月までに国が東電に対して規制権限を行使していれば、「原発事故は避けることができた」として、事故を防げなかった国の責任を認めた。

弁護団らが判決内容を伝えると、裁判所を囲んでいた原告らは歓喜の声をあげ、目を潤ませる人も。原告団長の中島孝さんは、原告や支援者が詰掛けた報告集会で「主張の一丁目一番地を完全に勝ち取った」とかみ締め、「被害救済の大きな足がかりになった」とさらなる救済の拡大を訴えた。

賠償対象地域が広がる~福島県外も
この裁判では、国が示してきた損害賠償の指針は過小であるとして、その妥当性を争ってきた。判決では、原告3800人のうち4分の3にあたる約2900人について、国の指針を上回る追加のを認めた。

追加で賠償が認められたのは、福島市、郡山市、二本松市など国の指針で「自主的避難等対象地域」とされた地域で大人(妊婦を除く)に16万円。白河市などの県南地域住民に大人10万円。南相馬市の一時避難要請区域(南相馬市の避難指示区域と緊急時避難準備区域以外=鹿島区など)で3万円。

また、これまで賠償対象となっていなかった茨城県北茨城市や東海村、水戸市、日立市でも1万円の賠償が認められた。一方、福島県の会津地方や宮城県、栃木県、茨城県牛久市やつくば市では、賠償が認められなかった。

避難指示が出された地域では、帰還困難区域と双葉町の避難指示解除準備区域で追加賠償20万円が認められたが、居住制限区域や双葉町の避難指示解除準備区域を除く地域は認められなかった。また、千葉地裁では認められた故郷を失ったことに対する特別な精神的賠償にあたる「ふるさと喪失慰謝料」は、すでに支払われている賠償範囲内であるとして、追加の賠償は認められなかった。

記者会見

『生業を返せ、地域を返せ!』福島原発事故訴訟原告団・弁護団Webサイト
http://www.nariwaisoshou.jp/
判決骨子
http://www.nariwaisoshou.jp/archives/001/201710/hanketu_k.pdf
判決要旨
http://www.nariwaisoshou.jp/archives/001/201710/hanketu_y.pdf


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