2017/12/05 - 13:27

メディアを市民の手に〜韓国市民放送の挑戦

 
市民がテレビ局の経営に参加したり、自分たちの番組を放送できる「パブリックアクセス」が制度化されている韓国。市民参加型の衛星チャンネルを運営する市民放送「RTV」のキム・ヒョンイク事務局長が5日、東京・神保町で来日講演を行った。
 
今回の講演は、「RTV」が日本の独立系メディアを調査するために来日したことがきっかけに行われた。軍事独裁政権時代の韓国。政権に抵抗するために活性化していった市民メディア運動や、「パブリックアクセス」を実現するためにメディアや市民団体、専門家などが連携し運動を広げていった経緯が説明された。そして、2000年の放送法改正で「パブリックアクセス」制度を実現したという。
 
市民が映像をつくるための教育を行うメディアセンターの設置や、政府や放送局からの支援金の交付などで「パブリックアクセス」は黄金期をむかえ、2002年にフリージャーナリストや市民団体、独立系メディアが制作した番組を放送する「RTV」が開局。全国ケーブルへも進出していった。
 
ところが2008年に保守政権に政権交代すると状況が一変。支援金の大幅カットや打ち切りで、50人いたスタッフも2人まで減るなど「RTV」は存続の危機に。それでも活動を続け、今年は放送通信委員会から公益チャンネルとして認定された。今後は、IPTVやオンラインプラットフォームへの進出などで、市民の声をより広く伝えられるように試みていくという。
 
ダイナミックな変化を経験してきた「RTV」。キム事務局長は「韓国は市民運動の小さな成功を積み重ねてきた。パブリックアクセスの映像を通じて、マスメディアからこぼれ落ちるような社会的弱者、少数者の声を代弁し、社会問題を解決できるように活動していきたい」と語った。「RTV」は、韓国、台湾、日本の独立系メディアや、メディアセンターなどの調査を行い、来年5月に東アジアを結ぶメディアネットワークを立ち上げる予定だ。
 

市民放送RTVとは?
財団法人市民放送RTVは、韓国唯一の「パブリックアクセス専門チャンネル」を運営する非営利団体です。パブリックアクセスとは、市民が公共の資源・財産にアクセスする権利のこと。また市民の情報発信の手段として、メディアへのアクセスを保障する制度、一般市民が自主的に番組作りに参加する市民メディアを指す言葉でもあります。
 
韓国では1999年に改正された放送法で、視聴者参加やメディア教育の支援、知る権利などが位置づけられ、パブリックアクセス制度が法制化されました。パブリックアクセス制度は現在、地上波、ケーブル、衛星放送などほぼすべての放送媒体を網羅しており、それに伴い放送への市民の参加も増加しました。このような過程の中で誕生した「市民放送RTV」は、視聴者が放送の「主人公」であるという原則のもと、「市民の権利としての視聴者主権」を確立するために日々励んでいます。

サイト:http://rtv.or.kr/
Facebook:https://www.facebook.com/RTV183/?fref=ts
主な番組の紹介ビデオ(4分)

 


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