「オリンピックのために熱帯林を伐採しないで」
新国立競技場の建設資材に熱帯林の木材が使用されているとして、国際的な環境保護団体が新国立競技場前で初めて抗議活動を行った。集まったメンバーはろうそくに火を灯し、新国立競技場のために伐採された木々と、建設現場で過労死した作業員に思いを寄せて黙祷を行った。
抗議活動を行ったのは、熱帯林や森林破壊問題に取り組む環境NGO「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」と「熱帯林行動ネットワークJATAN」の2団体。同団体は、今年4月に新国立競技場建設現場の基礎工事で使われていた合板が、マレーシア・サラワクにある伐採会社シンヤン社の熱帯材合板であることを指摘。シンヤン社が熱帯雨林の大規模な伐採を行い、先住民の土地を奪い深刻な人権侵害を引き起こしていると批判している。
シンヤン社の天然林伐採地(Anap-Muput森林管理区) 写真:(C)JATAN
抗議を呼びかけた「レインフォレスト・アクション・ネットワーク」の森林金融シニアアドバザイザーのハイネケン・ハナさんは、日本が熱帯材合板の輸入世界第1位であり、木材調達の認証コードも不十分で持続可能性を確保できていないと批判。「熱帯雨林がなくなれば、そこで暮らす先住民族が生活できなり、気候変動にも繋がる。オリンピックを契機に熱帯木材の使用を止めて欲しい」と訴えた。
同団体をはじめ環境NGO47団体は今年9月、国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会、日本スポーツ振興センター(JSC)に対して、熱帯木材を使わないように求める公開書簡を送付。これに対して、組織委員会とJSCは11月、「合法で持続可能な木材が調達できるている」と回答し、使用される熱帯木材の産地や数量については情報開示を進めるとの姿勢を示している。OurPlanetTVの取材に対して、組織委員会の担当者は、来年1月末頃に情報開示すると説明した。
関連リンク
「公開書簡 オリンピック2020年東京大会での熱帯林破壊と人権侵害の停止を、NGOが要請」
組織委員会の回答
https://tokyo2020.jp/jp/assets/news/data/20171121-01-JP.pdf
関連リンク
レインフォレスト・アクション・ネットワーク
http://japan.ran.org/
JATAN 熱帯林行動ネットワーク
http://www.jatan.org/