国際人権NGOのヒューマンライツ・ナウは8月18日、福島原発事故に伴う住民の健康などに関し、政府に対し意見書を発表、政府に対して提出した。
意見書では、緊急時であったとしても、被ばくリスクが下がるわけではないとして、チェルノブイリ原発事故後の汚染区域の設定に基づき、年間1ミリシーベルトを超える全ての地域について、住民の健康を保護するための措置をとることや、汚染実態に即した避難地域の再検討を行うことなどを求めている。
また、従来の国内法との比較では、労働安全衛生法や労働安全衛生法施行令の「電離放射線障害防止規則」では、3ヶ月で1.3ミリシーベルトを超える区域を「放射線管理区域」に指定していることに言及。この区域では、子どもや妊婦の立ち入りが禁止され、飲食を含む生活が許されていないと指摘。30キロ圏内と一部地域を除き、放射線被害から人びとを守るための措置を何も行っていない政府は、国民の健康に対する権利を守る政府の義務に対する重大な違反をしていると結論づけている。
事務局長の伊藤和子弁護士は、「時間をかけてスタッフを投入し、国際基準とチェルノブイリ事故時の法的対応を調査してきましたが、日本の対応はチェルノブイリ時の旧ソ連の住民保護をはるか に下回るものであり、一刻も早い対処が必要だと痛感しています。」とコメントしている。
これまで日本弁護士連合会は、繰り返し会長声明などを発表してきたが、人権団体が福島原発事故に関して声明や意見書を出すのははじめて。
意見書
http://hrn.or.jp/activity/20110817houshasenn.pdf