大阪・泉南地域でアスベストを吸い、肺がんなどを発症したとして元労働者や遺族らが起こした国家賠償訴訟で、25日に大阪高裁が原告敗訴の判決を言い渡したのを受け、26日、原告と弁護団は、枝野官房長官に、早期全面解決などを求め申し入れ書を提出した。
国家賠償訴訟を起こしていた原告は、大阪・泉南地域の元石綿関連工場の労働者や遺族ら32人で、国がアスベストに関して規制や対策を行わなかったとして、国に総額約9億4600万円の損害賠償を求めていた。2010年の1審判決では、大阪地裁が、国のアスベスト規制の不備を認め、国に対して、賠償を命じていたが、今年8月25日、大阪高裁は、一転して原告敗訴の判決を言い渡した。
原告や弁護団、支援者など約20人は、26日、午前8時30分に首相官邸前に集まると、大阪高裁の判決は不当であると、街行く人にビラを配り訴えた。夫を亡くした原告の佐藤美代子さんは、「マスクをしなかった労働者が悪いとはどういうことか」と、国のアスベスト対策が充分であり、労働者が自己防衛するべきだったすると判決に対して不当だと訴えた。
集まった原告と弁護団は、午前11時45分、衆議院議員会館を訪れ、枝野幸男官房長官に、「被害者と面談し、被害者の声を直接聞くこと」など、早期全面解決を求め、菅総理大臣宛の申し入れ書を手渡した。
元労働者や遺族らは、最高裁への上告を検討している。