東京電力の福島第一原子力発電所事故の影響で、各電力会社が定期検査のため停止している原発の運転再開にめどが立っていない。3月から検査の最終段階である「調整運転」に入っている北海道電力の泊原発3号機と関西電力の大飯原発1号機の2基も、営業運転に入れないまま3ヶ月を迎える。現状が続くと、9月には10基、来年の今の時期には、全ての原発が自動的に止まることとなる。
現在、停止している原子力発電所は、東日本大震災の影響で停止している福島第一、第二原発や女川原発のほか、故障などで停止している計26基。この他、島根原発1号機や美浜原発1号など13基が定期点検中のため、営業運転しているのはわずか17基となっている。
原発は電気事業法で、ほぼ13カ月おきに、原発を停止して検査を行うことが決まっているが、通常の場合、定期検査で停止した原発は地元の了解なしに運転再開。1ヶ月程度の調整運転を経て、原子力安全・保安院の最終試験を実施し、営業運転に入る段取りになっている。
しかし、今回は福島第1原発の事故を受け、地元への理解が必要になっているため、一方的に再開に踏み切れない状況にある。しかも、政府が浜岡原発に対して停止要請を出したのを受け、原発のある自治体が、地元の原発と浜岡原発の安全性の違いがどこにあるのか、その基準の明示を政府に求めており、電力会社側もその状況を注視しているといった事情もある。
国は6月7日、福島の事故に関する報告書を提示したものの、老朽化した原発の対策が不透明な点や、浜岡原発以外の原発を安全と判断した根拠も示されていないなどとして、自治体側は判断を見合わせている。
海江田万里経済産業省は、電力不足の恐れがある7月には定期点検中の原発を稼働させたいとしているものの、地元の理解が得られなければ、原発の再開は遅れる見通し。このまま、現在の状態が継続すると、9月頃には、営業運転している原発は10基に減り、来年の今頃にはゼロとなり、自然な「脱原発」が達成されるとの声もある。
調整運転中(2機)<本来は5月に再開>
泊原発3号 調整運転中(2011年3月7日~)
大飯発電所1号 調整運転中(2011年3月10日~)
定期点検中(11機)
島根原発1号(2010年11月8日~終了未定)
美浜原発1号(2010年11月24日~)
玄海原発3号(2010年12月11日~)
高浜発電所1号(2011年1月10日~)
玄海原発2号(2011年1月29日~)
志賀原発電2号(3月11日~7月中旬再開予定)
大飯原発3号(2011年3月18日~)
泊原発1号(2011年4月より~)
伊方発電所3号(2011年4月29日~8月9日終了予定)
川内原発1号(2011年5月10日~)
美浜原発3号(2011年5月14日~)
営業運転中(17機)
大飯原発4号(2010年6月22日~)
高浜原発4号 (2010年6月23日~)
柏崎刈羽原発7号(2010年7月23日)
泊原発2号 (2010年7月28日~)
柏崎刈羽原発1号 運転中(2010年8月4日〜)
川内原発2号 (2010年8月4日~)
伊方発電所1号 (2010年8月5日)
大飯原発2号 (2010年10月17日~)
高浜原発2号 (2010年10月26日~)
玄海原発1号 (2010年11月2日~)
美浜原発2号 (2010年11月19日~)
玄海原発4号 (2010年11月26日~)
伊方発電所2号 (2010年12月14日)
島根原発2号 (2010年12月28日~)
高浜原発3号 (2011年1月21日)
柏崎刈羽原発5号 (2011年2月18日)
柏崎刈羽原発6号 (2011年3月9日)
★停止中(26機)
東通原発1号~4号
女川原発1号~3号
福島第一原発1号~6号
福島第二原発1号~4号
東海第二原発1号
柏崎刈羽原発 2号~4号
浜岡原発1号~3号
志賀1号
敦賀2号
もんじゅ1号 停止