子ども被災者支援法
2017/06/27 - 19:19

「保養」に公的支援を〜福島の母親ら政府に訴え

放射能を気にせずに、屋外で思い切り、子どもを遊ばせたいー。
そんな保護者のニーズに応え、福島第一原発事故以降、福島県やその近隣県の子どもたちを受け入れ、自然体験活動を行ってきた「保養団体」のメンバーや利用者らが26日、「保養プログラム」に対して公的支援を行うよう、文部科学省などに申しいれた。

申し入れを行ったのは、福島原発事故以降、市民レベルで保養活動を展開してきた108団体。事故から7年目を迎えてもなお、年間にのべ9000人以上が保養に参加している一方で、受け入れている保養団体が財政的に疲弊し、支援の継続が困難になっていると主張。「原発事故子ども・被災者支援法」に基づき、「保養」を国の制度に位置付けることや、民間団体が実施している保養プログラムを公的支援するよう要望した。

保養支援団体「リフレッシュサポート」の疋田香澄さんは、住宅支援の打ち切りや避難解除により、福島県内に戻る家族が増加する中、今まで以上に希望者が増えていると説明。これらの家族が福島で安心して暮らすために、保養プログラムは大変重要な機会であると述べた。

子どもたちを屋外でのびのび遊ばせるために、子どもたちを、福島市から山形県米沢までバスで連れて行き、保育を行っている「NPO法人青空保育たけの子」の代表・辺見妙子さんは、事故から6年経っても、震災前と同じ線量にはもどっていないとした上で、子どもたちの外遊びを制限するなどした結果、子どもたちに様々な影響が出ていると指摘した。

また、子どもたちの「心の動き」も変化があった報告。「桜の花びらが吹雪のように舞った時、誰ひとり関心を持ちませんでした。…当たり前のように遊んだ自然遊びを子どもたちから奪ったのです」との、福島県保育連絡会が今年まとめた報告書「福島の保育 第14集」の一節を紹介した。

会見には、小学生や幼稚園の子どもがいる福島県内の母親3人もに参加。1年前に避難先から戻った福島市内の母親は、「保養プログラム」がなければ、福島で暮らしていくことは難しいと述べ、受け入れ先の団体が安定した運営をできるよう公的な支援を訴えた。

また、県中地域に暮らす母親が保養に行き始めたのは、震災から1年半後のこと。きっかけは、子どもが笑わなくなったことだという。しかし当初は、県外に行けば差別されるのではないかと警戒心ていた。しかし2012年夏に初めて出向いた保養キャンプで温かく迎えられ、今まで口に出来なかった不安や苦しい気持ちを震災後初めて言葉にすることができたという。

また県南地域に住む母親も、最近出産した母親の中に、新たに「保養」の情報を求める人が増えているとして、保養に公的な支援を求めた。


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