東京電力福島第一原発事故で加須市に役場機能ごと避難している福島県双葉町の町議会で20日、井戸川克隆町長に対する不信任決議案が可決された。井戸川町長は今年1月に開催された脱原発世界会議に参加。OurPlanetTVのインタビューで、脱原発に関する考えを初めて表明し、福島県の子どもたちの被曝問題へ大きな関心を寄せていることを語った。
その後、チェルノブイリの健康被害の実態についても勉強を重ね、ベラルーシで使用されているホールボディカウンターも導入した町長は、年間1ミリ以上の地域における避難政策を進めるよう、政府に強く求めていた。今年6月8日、野田総理が再稼働を宣言した日に収録したインタビューを掲載する。
役場機能移転「年1ミリ以下」で〜双葉町長が苦渋の決断
双葉町の東京電力福島第一原発事故で、埼玉県加須市に役場機能を置いている福島県双葉町の6月定例議会最終日、井戸川克隆町長に対する不信任決議案が提出され、採決の結果否決された。
不信任決議案を提出した菅野博紀町議会議員は、「役場機能の移転について町長から具体的答弁がなく、住民不在だ」と指摘。議会の半数以上の5人が賛成にまわったが、2人が反対し否決された。首長の不信任決議を可決するためには、出席議員の4分の3以上の同意が必要となる。この日は、定数8に対し、議員7人が出席していたため、可決には6人の賛成が必要だった。
双葉町の井戸川町長は、放射能の被曝による健康影響を憂慮しており、国が帰還基準としている年間20ミリシーベルトに反発。6月9日に開かれた島県双葉郡8町村との協議会で、細野大臣にいわゆる「チェルノブイリ法」と同レベルの年間1ミリシーベルトを基準に避難政策と補償をするよう要求するなど、福島県内への役場移転に慎重な立場をとってきた。
一方、議会側は、3月の議会で、6月末までの福島県内に役場機能を置くよう全会一致で議決。しかし、町長がこれに取り組まなかったため、議会と町長は対立。この6月議会で、町民アンケートをもとに、福島県いわき市への移転を町長に迫ったため、町長は20日の議会で「住民の意見はおもく受け止める」として、来年3月末までに役場機能を福島県内に戻すと答弁していた。
ただ、井戸川町長は20日の議会終了後、「役場機能の移転先は、年間の被曝限度である1ミリシーベルト未満を条件に探したい」と語り、役場機能の移転と、住民がコミュニティを維持したまま移住をする『仮の町』は関連しないとの考えを表明している。
議会が行ったアンケートによると、役場の移転先として希望が最も多かったのは、いわき市の54%。次いで町役場の支所がある郡山市で23%。福島市が6%、南相馬市と白河市が4%と続いた。
双葉町は全域が立ち入り禁止の警戒区域に指定されており、帰還のメドはたっていない。現在、双葉町民は県外に3418人、県内に3577人避難しており、いわき市へ避難している人は1292人と最も多く、役場機能が移転している旧騎西高では現在、231人の町民が生活している。
この井戸川町長のインタビューは、野田首相が再稼働を宣言した6月8日に収録したもの。
2012年6月21日(木)「井戸川町長の不信任案は否決」
撮影:西中誠一郎 編集:OurPlanetTV
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