小児甲状腺がん
2016/12/28 - 01:31

福島の小児甲状腺がん疑い含め183人〜2巡目で68人

検討委員会後半(甲状腺結果以降)
 
東京電力福島第一原発事故後、福島県が実施している「県民健康調査」の検討委員会が27日、開催され、2巡目の健診で悪性または悪性疑いと診断された子どもは、前回より9人増え68人となった。また手術をして甲状腺がんと確定したのは、10人増え44人となった。1巡目と2巡目をあわせた数は、甲状腺がんの悪性または悪性疑いが183人。手術を終えた人が146人で、1人をのぞく145人が甲状腺がんと確定した
 

 

 
本格検査で甲状腺がんの疑いがあると診断された68人の年齢は、2次検査時点での年齢は9歳から23歳。性別は男性31人、女性が37人と1:1・19の比率だった。通常、甲状腺がんは女性の比率が高いが、男性比率が極めて高い結果となった。
 
清水一雄委員がこの点について、ベラルーシの甲状腺医デミチク医師が「チェルノブイリの変化のひとつに男女比がある」と言及していたことに触れ、県立医大の見解を糺したが、甲状腺検査を担当している大津留晶氏は回答を控えた。
 
また春日文子委員が再発状態や遠隔転移について質問したが、これについても、回答しなかった。
なお腫瘍の大きさは5・3ミリから35・6ミリで、先行検査の結果は、A1判定だった人が31人、A2だった人が31人で計62人。B判断だった人は5人。先行検査未受診者が一人いた。
 

岡山大学大学院環境生命科学研究科の津田敏秀教授が、今回新たに公表された2巡目のデータを解析した。津田教授は、「2巡目の検診結果は、相馬地区を除き、すでに桁違いの甲状腺がんの多発を示している。もちろん、統計的有意差が十分にある。」とした上で、「もはや2巡目について、スクリーニング効果」や「過剰診断仮説」は原理上は使えず、むしろ1巡目における「スクリーニング効果」や「過剰診断仮説」を評価をするにあたっての基準になる」と指摘する。
 

 

 

 

 
津田教授は、甲状腺がんの多発の原因について議論を避けている検討委員会を厳しく批判。「疫学理論を知っているかどうかよりも、論理的思考能力があるのかどうか、医学的根拠に基づいて議論することができるのかどうかという、公的機関の委員としての資質に問われる事態になったと思われる。」と述べた上で、海外を含め、きちんとした専門家を招き、議論するべきであると提言した。
 

 
検討委員会前半(基本調査〜甲状腺検査説明冒頭のみ)

 
記者会見

 
配布資料
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kentoiinkai-25.h…
 

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