東京電力福島第一原発事故後、福島県が実施している「県民健康調査」の検討委員会が20日、開催され、2巡目の健診で悪性または悪性疑いと診断された子どもは、前回の68人より1人増え69人となった。1巡目と2巡目をあわせた数は、甲状腺がんの悪性または悪性疑いが184人。手術を終えた人は変わらず146人で、1人をのぞく145人が甲状腺がんと確定している。
甲状腺評価部会、再開へ
検討委員会の星北斗座長は、2巡目の健診結果がまとまりつつあるとして、今年6末までに、甲状腺がんと被ばくとの因果関係を検討する「甲状腺評価部会」開催を提案。了承された。星座長は、現在の評価部会のメンバーに加え、小児甲状腺がんの専門医や放射線による健康影響に詳しい専門家を加えるとしている。
一方、12月27日に開催された前回の検討委員会で同じく星座長が提案した、甲状腺検査について国際的な知見から検討を行う「第三者機関」については、春日文子委員から、評価部会の中で、必要に応じて専門家を招聘すべきではないかと提案。また前回の会議を欠席した清水修二委員も、検討委員会から「第三者委員会の設置を要望する」というのは反対であると述べたが、星座長の個人的な意見を受けて、県が「第三者委員会」について検討するとのして、明確な枠組みが示されないまま終了した。
第三者機関とは?
「第三者機関」とはいかなるものなのか?記者会見の中でも、記者から繰り返し質問が出された。福島県によると、「第三者機関」は定期的な会議体ではなく、論文などをレビューし、記者会見などを通じて、報告書を公表するような形であるという。また、財源が国であるべきだが、設置主体は、国でも県でもない可能性が高いという。
前回の前回の検討委員会で、星座長は突如「第5回福島国際専門家会議から提言書が提出され、知事が受け取ったと報道されている」と切り出し、第三者的、中立的、国際的、科学的な立場の専門家が最新の科学的知見をレビューする場が必要があるとの考えを示したが、その際、放射線影響研究所に設置されている第三者組織に触れ、「科学諮問委員会」や「ブルーリボン委員会」などがモデルになりうる可能性を示唆した。放影研に第三者機関が設置される可能性もある。
放影研の科学諮問委員会
http://www.rerf.or.jp/intro/org/sac_j.pdf
ブルーリボン委員会
http://www.rerf.jp/history/committee/blue.htm