来年3月の打ち切りが決まっている「自主避難者」の住宅支援について、現在、避難指示区域であっても、同時期までに避難解除すれば、同様の打ち切りが行われる可能性があることが、福島県への取材でわかった。
福島県の避難者支援課によると、「自主避難者」の住宅支援打ち切りが公表された昨年6月15日時点で、すでに避難指示が解除されていた田村市都路地区や川内村は、自主避難者と同じ来年3月に、仮設住宅の供与が終了する。これらの地域では、2019年3月まで一人当たり月10万円の精神的賠償が続くが、それを待たずに、住宅支援を打ち切る。
また昨年9月5日に避難指示が解除された楢葉町は、今年5月頃、方針を固める。さらに今年4月に向けて避難解除を目指している南相馬市小高区や川俣町山木屋地区、葛尾村についても、解除後は「避難指示区域外」となり、「打ち切り」の検討対象となるという。
避難者が膨大だった東日本大震災では、避難者は災害救助法に規定された「応急仮設住宅」だけでなく、「みなし仮設」との名目で、国が住居の賃貸費用を肩代わりする「借り上げ住宅制度」により、家賃を免除されてきた。原発事故に伴う被曝の影響を恐れ、政府が避難指示を出していない区域から避難した「自主避難者」に対しても、同様の措置がとられてきた。
しかし、昨年6月15日、人口の減少に歯止めをかけたい福島県が、2017年3月に支援の打ち切りを発表。昨年暮れには、福島県内に帰還する世帯への引越し費用に補助する制度と、支援打ち切り後の激変緩和策となる生活困窮世帯に対する家賃補助制度を発表した。
川内村から郡山市に避難し、今も仮設住宅で生活しながら住民支援活動をしている「NPO昭和横町」の志田篤志さんは、同じ仮設住宅で暮らす高齢者の9割が、引き続き仮設住宅で暮らしたいと希望していると話す。「住居は基本的人権でとても大切なこと。追い出しなどはありえない」と不安を募らせる。
避難者の住宅問題に詳しい津久井進弁護士は、「法的に見れば、住宅支援を打ち切る根拠はない。ニーズがあり、許容性があり、やる気になれば、延長するのは当然で、迷うべきものではない。」と政府を批判。一方、賠償の格差などによって分断されてきた被災者へ対しては、「避難区域内の人も避難区域外の人も、避難解除によって、問題状況は同一化しつつある。同じ立場にある以上、相互の理解や交流が必要で、国への要求なども連帯して行っていくことが重要だ」「避難の解除によって、事故は終わったとのムードがあるが、人の手による被害は広がっている。外部への発信も必要だ」と提言する。
避難者支援課では1月中に、避難区域外からの避難者に対し住居意向調査を実施し、年度内をめどに結果を公表したいとしている。
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家賃補助について
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16055b/hinansya-shiensaku.html
移転費用の支援について
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16055b/furusatojutakuitenhojokin.htm…