政府は25日の閣議で、東京電力福島第1原発事故の被災者を支援する「子ども・被災者支援法」の基本方針改定を決定した。生活支援や健康支援を実施する支援対象地域は、引き続き福島県内の33市町村を維持するものの、事故時より空間線量が大幅に低減したとして、「新たに避難する状況にはない」と明記。また支援対象地域のあり方について、「縮小または撤廃することが適当」であるとし、帰還や定住支援に重点を置くとした。基本方針が改定されるのは、基本方針が制定された2013年10月以来、今回がはじめて。
竹下亘復興相は閣議後の記者会見で、「必要な改定を行った。支援が打ち切られるとの誤解があるが、引き続き支援をしていくという基本は今までと変わりがない」と強調。2年後に、自主避難者に対する住宅支援を打ち切り、定住支援に重点を置くとの点については、具体的な政策は提示せず、「避難している人も住み続けている人も、一人一人の事情に合わせて支援を考えたい」と述べるにとどまった。
先月7月10日に改定案が示されて以降、復興庁に寄せられたパブリックコメントは約1500。ほとんどが改定案に対して批判的な内容だったが、パブリックコメントに基づく修正はほとんどなかった。7月に示された改定案では「すでに避難する状況にない」という文言が示されていたが、被災者などからの反発が大きかったため、「すでに」を「新たに」に変更。「新たに避難する状況にない」との文言に修正された。
関連リンク
子ども被災者支援法の基本方針
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat2/20150825honbun.pdf
「子ども被災者支援法の改定(案)」に対するパブリックコメント結果
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat2/20150825093158.html