2015/12/15 - 12:54

「放送法の誤った解釈だ」テレビへの政治介入を批判

 
自民党幹部らによるテレビ放送への政治介入が相次ぐなか、メディア関係者らが記者会見を行った。会見に出席したジャーナリストの坂本衛さんは「政治家は、表現の自由を謳う放送法を正しく解釈し、根拠のない圧力を抑制すべきだ」と訴えた。
 
会見に出席したのは、メディア総合研究所の砂川浩慶さんと、ジャーナリストの綿井健陽さん、坂本さんの3人。会見の冒頭で坂本さんは、放送法の誤った解釈により、政治がテレビ介入していることを批判し、言論・表現の自由を守るアピール文を読み上げた。
 
放送法は1950年に施行。第4条に記載されている「政治的に公平であること」について注目を浴びているが、放送法の目的が書かれている第1条には、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること」と定められている。太平洋戦争時、メディアが大本営発表に加担したことへの反省から、政権からの独立性が重視されている。
 
砂川さんは「放送法のベースには、まず表現の自由がある。放送事業者が、表現の自由や、民主主義の発展を考える中で、やってくださいということ。倫理規定で罰則はない。違反する、違反しないという事自体がテレビ放送の萎縮効果を招く」と話した。
 
綿井さんは「政府与党は、放送法をメディアを監視、取り締まるものとみている。今後、メディアを監視、取り締まるような放送法への改正や、BPO(放送倫理・番組向上機構)つぶしの動きが出てくるのではないか」と危機感を強めた。会見では、今回のアピール文に賛同するテレビ関係者やジャーナリスト、映画監督、研究者など39人が発表された。
 
賛同人署名(12月5日0時までの到着順)
松本功(ひつじ書房編集長)、マッドアマノ(パロディスト)、岩崎貞明(「放送レポート」編集長)、是枝裕和(映画監督)、小田桐誠(ジャーナリスト)、篠田博之(「創」編集長)、柴山哲也(ジャーナリスト)、上滝徹也(日本大学名誉教授)、桧山珠美(フリーライター)、田中秋夫(放送人の会理事/日本大学藝術学部放送学科講師)、高橋秀樹(日本放送作協会常務理事/メディアゴン主筆/日本マスコミュニケーション学会)、ジャン・ユンカーマン(ドキュメンタリー映画監督/早稲田大学招聘研究員)、壱岐一郎(元沖縄大学教授/九州朝日放送)、永田浩三(ジャーナリスト/武蔵大学教授)、古川柳子(明治学院大学文学部芸術学科教授)、真々田弘(テレビ屋)、岡室美奈子(早稲田大学教授/演劇博物館館長)、隅井孝雄(ジャーナリスト)、小玉美意子(武蔵大学名誉教授/メディア研究者)、川喜田尚(大正大学表現学部教授)、諸橋泰樹(フェリス女学院大学教員)、高瀬毅(ノンフィクション作家)、中村登紀夫(日本記者クラブ/放送批評懇談会/日本民放クラブ/日本エッセイストクラブ)、大橋和実(日本大学藝術学部放送学科助手)、藤田真文(法政大学社会学部メディア社会学科教授)、兼高聖雄(日本大学藝術学部教授)、石丸次郎(ジャーナリスト/アジアプレス)、田島泰彦(上智大学教授)、白石草(OurPlanetTV)、小林潤一郎(編集者/文筆業)、須藤春夫(法政大学名誉教授)、谷口和巳(編集者)、茅原良平(日本大学藝術学部放送学科専任講師)、海南友子(ドキュメンタリー映画監督)、野中章弘(ジャーナリスト/早稲田大学教員)、鎌内啓子(むさしのFM市民の会運営委員)、豊田直巳(フォトジャーナリスト/映画「遺言〜原発さえなければ」共同監督)、碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)、八田靜輔(民放労連北陸信越地方連合会元委員長)
 

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