渋谷区が公園整備工事のために、野宿者を強制退去させたことに対して、野宿者や支援者らが、渋谷区に損害賠償を求めた裁判の控訴審判決で、17日、東京高裁は渋谷区の控訴を棄却した。高裁の柴田寛之裁判長は「法律上許されない直接強制に該当する」と述べ、一審と同じく渋谷区に11万円の損害賠償を命じた。
この裁判は2010年、宮下公園整備工事のために、公園内にとどまる野宿者の体を担ぎ上げて強制退去させたことをめぐり、野宿者や支援者らが渋谷区を訴えたもの。渋谷区は控訴審で「担ぎ上げの時間は23秒間」「野宿者自身の安全確保のためだった」と主張。当時の様子を撮影したDVDを証拠として提出したが、高裁は「野宿者が公園からの退去を拒み、抵抗しており、直接強制にあたる」と渋谷区の違法性を指摘し、主張を退けた。
渋谷区で野宿者支援の活動をしている「のじれん(渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合」の黒岩大助さんは、判決後の記者会見で、「渋谷ではオリンピックと再開発で、野宿者の強制排除の圧力が強まっている。全国各地の同じような野宿者排除の歯止めになるような判決だ」と高裁の決定を評価した。
また渋谷区に強制退去させられた野宿者の男性(50代)は、「このような判決が出て良かった。渋谷区から提出された強制排除を撮影したビデオの存在が大きかった。おかげで渋谷区の嘘が裁判の中で明らかになった」とコメントを発表した。
一審でも敗訴した渋谷区長の長谷部健区長は、OurPlanetTVの取材に対して「一審判決同様に、違法に設置された公園内のテントなどを撤去した行政代執行が適法と認められており、区の対応は適切であったと考えている。野宿者の退去について、区の主張が認められなかったことは残念だが、真摯に受け止めていきたい」とコメントした。上告期限は10月1日で、上告するかどうかは現在検討中だという。
【YouTube】渋谷区の野宿者排除は「直接強制で違法」~高裁判決
https://www.youtube.com/watch?v=6Lz5S7-f6ZI
関連サイト
のじれん-渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合
http://nojiren.wix.com/index
みんなの宮下公園をナイキ公園化計画から守る会
http://minnanokouenn.blogspot.jp/