谷垣禎一法務大臣が29日に、2人の死刑を執行したことに対し、死刑廃止を求めて活動している4つの市民団体がそれぞれ緊急声明を発表し、死刑執行に抗議した。現在の安倍政権では、これまでに11人を処刑。2006年の第一次安倍内閣時と合わせると通算21人となった。
声明を発表したのは、アムネスティ・インターナショナル日本とNPO法人監獄人権センター、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90、「死刑を止めよう」宗教者ネットワークの4団体。声明では、内閣改造の直前の執行であることを指摘。国会も閉会中であり、執行の責任を追及できない時期をあえて選んで行った卑劣な執行だと厳しく批判した。また政府が、死刑執行の判断基準や執行日を国民に秘密にしていることも問題だとした。
アムネスティ・インターナショナル日本の若林秀樹事務局長は記者会見で、今年7月に、国連自由権規約委員会が日本政府に対し、死刑制度の廃止を検討するように求めた勧告を出したばかりであると説明。「国家が人の命を奪うということは究極に人権侵害である」として、日本政府が死刑廃止に向けた努力を全くしていないことに苛立ちを見せた。
今回、死刑が執行された小林光弘(56歳)死刑囚は、2001年に消費者金融支店に放火し5人を殺害したとして死刑判決を受け、2007年に上告棄却により死刑判決が確定した。第1審から殺意がなかったことを繰り返し訴え、今年8月6日に第3次再審請求が棄却された後も、弁護人と第4次再審請求の準備をしていたさなかの執行だった。また高見沢勤(59歳)死刑囚は、配下の暴力団員と共謀し合計3人を殺害したとして2012年に上告棄却により死刑判決が確定していたが、今年8月に死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90 が行ったアンケートでは、再審を準備していることを明らかにしていた。
死刑執行に対する抗議声明
アムネスティ・インターナショナル日本
http://www.amnesty.or.jp/news/2014/0829_4789.html
NPO法人監獄人権センター
http://www.cpr.jca.apc.org/archive/statement#1216
死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90
http://www.jca.apc.org/stop-shikei/?p=166