日本政府と国際原子力機関(IAEA)は15日、福島県郡山市で3日間にわたる国際会議「原子力安全に関する福島閣僚会議」を開始した。
玄葉光一郎外務大臣は、福島県とIAEAが協力して除染と健康管理を行なう重要性について説明。IAEAの天野之弥事務局長は、「原子力エネルギーは今後も重要な選択肢である」と訴えた。一方、会議に反対する市民らは「原発の安全ではなく、危険性を語って」と、IAEAのジル・チューダー報道官に要請書を提出した。
午前8時、福島閣僚会議近くには、福島で生活する女性たちが中心となり市民がおよそ100人集まり、「被災者の話抜きに会議を進めないで」と抗議行動を行なった。
午前9時30分、福島閣僚会議がはじまった。本会合の冒頭、玄葉大臣は「健康管理や除染の分野で、福島県とIAEAの協力強化は喜ばしく日本全体で支えていきたい」と話した。IAEAの天野之弥事務局長は、「原発事故はあったが、原子力エネルギーは多くの国々にとって重要な選択肢。多くの国は、原子力を導入することによって、エネルギー、安全保障を向上できる。経済の競争力を上げられる」と訴えた。
会場では、IAEAのブースや福島県内の除染活動の詳細を説明したパネルが並んでいたものの、外務省が募集した「福島の人々の声」の展示は、会場隅のホワイトボードに設置されていた。
午前11時30分、市民らおよそ200人が集まり、IAEAの担当者ジル・チューダー報道官と直接交渉。「原発の安全ではなく、危険性を語って」と会議の内容を切り替えるように訴え、要請書を提出した。要請書の中身は、これまでの原発推進方針を改め、人類への放射能被害を厳しく規制すること。日本政府と共に、エネルギー政策を脱原発に転換すること。子ども・若者たちの放射能被害の最小化に努めることなど、10項目。要請書と福島の人の声に関して、ジル・チューダー報道官は、「責任者に届ける」と説明した。
福島閣僚会議を傍聴した福島県西白河郡で生活する地脇美和さんは、「事故原因もはっきりせず、大量に放射能が出ている状況の中、子どもたちが、そのままその場所におかれているという状況を無視している」と話した。