日本原子力発電敦賀原発(福井県)の破砕帯(断層)を調べている原子力規制委員会の専門家らが10日、評価会合を開き、全ての委員が2号機の原子炉建屋直下に「活断層がある可能性が高い」と指摘。これを受け、規制委の田中俊一委員長は「今のままでは再稼働に向けた安全審査はとてもできない」と言及した。敦賀原発の敷地内には、非常に活発な「浦底(うらそこ)断層」が通っていることもあり、廃炉とされる可能性もある。近日、評価会の正式な報告を提出し、原子力規制員会が正式な見解を出す。
敷地内にマグニチュード8クラスの活断層
敦賀原発には、敷地に大規模な「浦底断層」と呼ばれる活断層があり、規制委の島崎邦彦委員長代理のほか、外部委員4人が、浦底断層と2号機の真下を走る「D-1破砕帯」を中心に現地調査を実施。会合では各委員が、それぞれの専門分野に即して考えを述べた。
まず、千葉大学の宮内崇裕教授は、敦賀原発の敷地内に走る「浦底断層」の危険性について「「浦底断層」は35キロにわたる長大な活断層で、兵庫県南部地震(M7.4)をはるかに上回り、濃尾地震クラス(M8)。このような活断層が原発敷地内にあること自体が異常事態であり、驚異的」であると批判した。
建設前に活断層、発見出来た可能性も
京都大学の堤浩之准教授は、「D-1破砕帯」の周辺の地層で見つかった複数の断層が「D-1」とつながっている可能性があるした上で、「浦底断層」と連動して動く可能性が高いと指摘。更に名古屋大学鈴木康弘准教授は、建設前の航空写真を用いて、当時の地形と今回の調査対象を照合し、建設前の調査段階から、すでに「D-1破砕帯」に関して詳細な調査が行われていたが、建設許可を出す際に、十分に調査が生かされていなかった可能性があるとの懸念を表明した。鈴木氏は、これ以上、明確な証拠を確認することはできないとして、安全側の判断が必要であるとの考えを示した。
議論を受けて島崎委員は「専門家4人で大きく食い違う点は見られなかった」と確認したうえで、「2号機の真下を走るD-1断層が、活断層として活動していて、浦底断層と同時にずれたと考えられる」と述べ、断層が活断層の可能性があるという判断を示した。
会合後の会見で、日本原電の調査が長引いているにも関わらず、専門家会合がわずか2日で結論を出したことについて問われると、島崎氏は「決して早いとは思わない」とした上で、「日本原連は、基本的には、活断層がないことを証明するために調査を続けている。それは我々の立場とは全然違う立場だ」と暗に事業者の調査を批判した。