原子力規制員会は6日、東京電力福島第一原子力発電所事故による住民の健康管理のあり方についての提言を決めた。提言では、福島県の県民健康管理調査について「国が責任を持って継続的な支援を行う必要がある。国の責任の下で取り組むべき」としている。しかし、福島県医師会の木田光一委員らが要望していた「国による健康調査の一元化」は抜け落ちた。
住民の健康管理のあり方については、福島県の県民健康調査や、子ども被災者支援法第 13 条によって、放射線による健康への影響に関する調査等を講ずるとされていることなどを受けて、去年11月に設置された検討チームで、放射線による障害の防止の観点から、健康管理調査の意義や実施体制、健康管理調査データの取扱いなどについて、ヒヤリングなどが重ねられてきた。
この日規制委員会で決めた提言では、住民の外部被ばく線量の把握が不十分であると指摘はしているものの、ほとんど県民健康調査の現状を追認しており、福島県の甲状腺検査で、甲状腺がんと診断された子どもが3人、このほか7人に甲状腺がんの疑いがあり、追加の検査中であることなどは、話に上がらなかった。
甲状腺ガン以外の健康被害については、「放射線が原因となる健康影響の発生の可能性は極めて小さく、影響を検出することはできない。生活習慣病対策が重要である」と示した。
過去にチェルノブイリの現地調査を行った経験のある大島賢三委員が、「必ずしもWHOやIAEAといった国際機関に上がっている以外の情報も現地にはある。甲状腺ガンだけではないという報告もある」と指摘したが、原子力規制庁 監視情報課の室石泰弘課長は、「いま行われている甲状腺検査の中で把握していこうとしている」と説明した。
今回の提言は環境省宛に出されることが決まり、田中委員長は「環境省にしっかり受け止めていただくようお願いしたい」と話した。
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