前日弁連会長で弁護士の宇都宮健児氏は9日、東京・永田町で記者会見し、石原慎太郎氏の辞職に伴う都知事選(29日告示、12月16日投開票)に無所属で立候補すると表明した。都知事選に市民側からの統一候補が出馬するのは、1979年以来30年ぶりとなる。宇都宮氏は東京から脱原発を推し進めるとともに、広がる格差と貧困問題に対策が必要だと訴えた。
宇都宮氏は、脱原発、反貧困などを訴える団体「人にやさしい東京をつくる会」が擁立した。石原都政により、貧困と格差が広がったと批判。社会的弱者の支援や反原発など4つの項目を公約に掲げ、「政治の役割は、社会的、経済的弱者を支援していくこと。行き詰った人びとに手を差し伸べていくことだ」と述べた。
記者から、他の候補者も「脱原発」や「脱原発依存」を掲げる可能性があることを指摘されると、宇都宮氏は、これまでの行動をきちんと見て欲しいとした上で、東京都が東京電力の大株主で、福島の人への責任があると説明。まずは福島県から都内へ避難した人への住宅支援や、経済的な支援を強めるべきと訴えた。また、福島第1、第2原発(福島県)と柏崎刈羽原発(新潟県)の廃炉を国に要求すると約束した。
宇都宮氏は1971年に弁護士登録。多重債務者問題や地下鉄サリン事件の被害者救済などに取り組み、2008年年末に東京・日比谷公園で行われた「年越し派遣村」の名誉村長を務め、2010年4月から2年間、日弁連会長を務めた。
市民運動や一般市民から、都知事候補者が担がれるのは30年ぶりのこと。脱原発運動の裾野の広がりが、都知事選にどのような影響を及ぼすかが注目される。政党からは、共産党が既に支持を表明しているほか、社民、生活が第一、新党きづなの合流が取りざたされている。