高い放射線量が測定されている福島市の渡地地区の住民30人が上京し、10月28日、渡利地区全世帯の詳細調査を再度実施することや、妊婦と子どもの避難などを求め政府と交渉を行った。
この日の交渉に参加したのは、渡利地区の自治会長や「セーブ渡利キッズ」のメンバーなど20人のほか、支援者など約300人。まず、交渉の冒頭に、子どもの避難などを求める緊急署名11,879筆を提出した。
福島市駅から車で5分ほどにある渡利地区は、地形などの影響により、地域内にホットスポットが多数点在し、除染をしてもすぐに空間放射線が上がってしまう特徴がある。住民の要望によって、国は8月、7600世帯の5分の1にあたる1000世帯の詳細調査を実施。2世帯が国の避難指定の基準値である3μSV/hを超えたものの、除染を優先するとして、10月8日、特定避難勧奨地点への指定を見送った。
しかし、住民らは政府の方針に納得できないとして、10月28日、政府交渉を行い、全世帯の詳細調査をやり直すように求めた。住民らは、2世帯が基準値を超えたにも関わらず、避難勧奨地点の指定を見送ったことについて、6月16日に政府が示した「避難勧奨地点指定」に添っておらず恣意的であるとして、非難の声があがった。更に、南相馬や伊達市では、子ども妊婦のいる世帯は「50cm高2μSv/h時以上」で指定を受けているとして、同基準の適用を求めた。
渡利の避難勧奨地域指定に関しては、10月8日に、政府が住民説明会を実施。避難勧奨地点から外れたことに体する住民の反発は強く、夜中の12時すぎまで、5時間にわたって質疑が行われた。
◆政府側出席者:
☆原子力災害対策本部
原子力被災者生活支援チーム 総括班 金城慎二企画官
同 放射線班 茶山秀一課長
同 住民安全班 植田室長
☆資源エネルギー庁 原子力損害対応室 市川紀幸課長補佐
☆原子力安全委員会事務局
管理環境課安全調査副管理官 橋本周
管理環境課安全調査副管理官 山田裕
規制調査課規制調査官 佐々木潤
☆文部科学省
科学技術・学術政策局 原子力安全課専門官 加藤隆行
研究開発局 原子力損害賠償対策室係長 宮地俊一
配布資料
資料1:交渉のポイント
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111028_1.pdf
資料2:セーブわたりキッズ空間線量調査マップ
資料3:福島市渡利地区における空間線量調査結果(概要)
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111028_3.pdf
資料4:福島市渡利地区における土壌中の放射能調査(概要)
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111028_4.pdf
資料5:渡利周辺の特定避難勧奨指定および賠償に関する要望書
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111028_5.pdf