NPO法人へ対する寄付に対して税制上優遇する範囲を拡大する改正NPO法が 15日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。寄付文化の定着と財政的に厳しい環境に置かれている日本のNPOの組織基盤の向上にむけて、一歩前進した。
今回、NPO法改正は、寄付に対して税制優遇を受けられる「認定NPO法人」を大幅に増やすことなどが目的で行われたもの。これまでは「事業収入のうち寄付が5分の1以上」であることなどが認定要件だったが、事業型のNPOの多くが認定を受けられないため、全国約4万3千のNPO法人のうち、認定NPO法人は215とわずか0・5%に留まっていた。
このため、今回の改正案では「3千円以上の寄付をした人が100人以上」いれば、認定NPO法人になれるなど認定要件を拡大。また、認定の権限を国税庁から都道府県と政令指定都市に移し、手続きを迅速化する内容となっている。
一方、寄付をした人が、寄付した金額だけ税額控除できる寄付優遇税制の拡大も、16日に衆院を通過し、今国会中に成立する見通し。新たな税制が導入されると、税金を支払う代わりに、NPO法人に寄付をする人も現れると見られ、NPO法人の裾野を広げ、寄付文化の拡大につながるとされる。
国会での改正案成立後、衆議院第二議員会館で記者会見が開かれ、NPO法改正に取り組んできた超党派の議員が結集。手をつないで集合写真を撮るなど、厳しい与野党の攻防から離れ、なごやかな雰囲気に包まれた。NPO法議連で改正に取り組んできた辻元清美議員は「自分たちの地域とか行政とか社会とかを変えていく、デザインを変えるのが寄付。社会や政治が変わると思う。」と挨拶。また、会長の加藤興一議員は、「半分達成できた。市民活動法という名称になるようがんばりたい」と今後への期待を述べた。改正NPO法は来年4月1日に施行される。