生活保護受給者が増加していることを受け、厚生労働省は5月30日、制度の見直しを目指して、地方自治体との協議を開始した。国、地方ともに、就労支援を通じて受給者の自立すとしており、8月をメドに具体案をまとめる。協議の内容によっては生活保護法改正も視野に入れる方針だ。
しかし、本音は、200万人を超える受給者の抑制と見られ、貧困層の切り捨てにつながる恐れがある。
今回の協議は、生活保護者が急増している地方側から去年以来、要望が出されていたことが背景にある。30日は、政府からは細川律夫厚生労働相大臣や大塚副大臣らが出席、一方、地方側からは、石川県の谷本正憲知事や大阪市の平松邦夫市長らが出席した。
市民の18人に1人が受給者で、全国最多の15万人にのぼる。大阪市の平松邦夫市長は「働ける層を支えるためには、雇用制度を優先すべき。生活保護で支えるのは問題だ。」と早期に制度の見直しを行うよう訴えた。
生活保護の被保護世帯は、一般的に、高齢者世帯、障害者世帯、傷病者世帯、一人親世帯、とその他の生活困窮世帯と分類されている。ここ数年不況による雇用環境の悪化により、失業による受給者が増加していることがから、同省は「働ける人」への就労支援を強めたい考えだ。
しかし、就労支援強化の背景には、給付削減の意図もあり、「適正化」との名の下、受給者に対して、ボランティア活動への参加などの強制事項や、給付期限を創設、給付水準の削減など、大幅な切り下げの可能性も出ており、生活保護受給者からは不安の声もあがっている。
会合は一般市民の傍聴が出来ないこともあり、生活保護当事者や支援者は厚生労働省で記者会見を開き、協議会を密室で行うことは止るよう訴えた。また、細川大臣に対し生活保護法改正案の検討にあたっては,生活保護を利用する当事者や支援者などの意見を十分に聴取すべきとの申し入れを行った。会合は次回から、事務レベルの協議が行われ、会議はマスメディアも含め傍聴は出来ない見通しだ。
生活保護法改悪に向けた国と地方の密室協議に抗議
http://www.moyai.net/modules/d3blog/details.php?bid=1297
生活保護制度に関する国と地方の協議配布資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001dmw0.html