「聞こえない」「聞こえにくい」―。そんな現実の中で、サッカーに打ち込む女性たちがいる。もう一つのなでしこジャパンとも言える、ろう者女子サッカー日本代表のメンバーだ。18名の全選手は全員ろうで、高校生や大学生、30代の社会人、既婚者もいる。サッカー経験もさまざまであり、聴覚レベルもそれぞれ違う。2009年夏、台北で開催されたデフリンピックに初出場したこのチームの姿を、カメラは追った。
サッカーに打ち込む姿だけではなく、映し出される学校や職場での普段の生活、語られるそれぞれの歩んできた道。一見障がいの有無がわかりにくいが、彼女たちの悩みや家族の葛藤が浮き彫りになる。しかし、とにかく彼女たちは明るくて前向きだ。「嫌なことを言われてもわからないから、耳が聞こえなくてよかった」と屈託なく笑う。おしゃれで、おしゃべりで、表情豊かで、楽しそう。しかも、ひたむきにサッカーに取り組む彼女たちを見ていると、いつの間にか彼女たちのファンになってしまうほど、見事に魅力が描き出されている。
監督 中村和彦(2010年/日本/88分)
公式ページ
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2010年9月18日(土)より、ポレポレ東中野にて公開