山口県上関町祝島。島の対岸3.5kmに原子力発電所を建設する計画が1982年に持ち上がり、島民は30年近く反対を続けている。反対デモや抗議行動を続けるおじいちゃん、おばあちゃんたちが語る「わしらの代で海は売れん」という言葉の持つ意味は重い。
この映画は反原発を叫んではない。島民の生活に寄り添い、島で流れるゆったりとした時間がそのまま映し出されている。聞こえてくる島の音、映像から香るにおい、海と山の恵みを丁寧に享受する島民の営み。その全てが「豊かさとは何か」を問いかける。そして、島の空気に心地よく引き込まれていく。
しかしある瞬間、おじいちゃん、おばあちゃんが命を懸けている闘いが、実は私たちの暮らしにつながっていると気付き愕然とする。快適さや便利さを求める私たちの限りない欲望は、どこかで誰かの生活を脅かして成り立っているのだ、と。
海と山、そして島の人々を“じっと”うつした美しい映像から、力強いメッセージを感じる。
6月19日(土)よりポレポレ東中野、横川シネマにてロードョー!
公式ページ
http://www.hourinoshima.com/