日弁連は7月29日、資源エネルギー庁が、ツイッターやインターネット上の情報を常時監視するモニタリング事業について、表現の自由を侵害する恐れが大きいとして、ただちに中止するよう、会長声明を発表した。
日弁連が問題にしているのは、政府が広告代理店の「アサツーディ・ケイ(ADK・東京)」と7000万円で契約を結んだ「原子力安全規制情報広聴・広報事業」。「原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する」ことを目的に、ツイッターやインターネット上の情報を「常時モニタリング」し、不正確とされる情報等に対して「速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導く」としている。
これに対し、日弁連は、政府が「不正確」と考える情報を一方的に批判することにより、情報を発信する者に対して萎縮効果を与える結果となり、憲法21条の表現の自由を侵害する恐れが大きいと指摘。政府の発信する情報と異なる情報の流通を制限し、国民の知る権利を制限することとなり、民主主義社会の根幹を揺るがせる重大な問題であると、即時の中止を求めている。
会長声明では、玄海原発や浜岡原発などの「やらせ」などによって歪んだ世論誘導が行われていることや、福島第一原発に関する情報開示が不十分であるとした上で、市民はより正確な情報を求めようとして、ツイッターなどを活用していると分析。政府が行うべきは情報の開示であり、市民の間における情報流通の制限につながる試みを行うことは、情報統制であると、厳しく断じている。
原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報に対する常時モニタリングに関する会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/11072…