関西電力大飯原発(福井県)の敷地内にある破砕帯が活断層かどうかを検討している原子力規制委員会の専門家会合が7日開催され、再び結論を先送りした。専門家らは11月2日に現地を調査し、4日に評価を行うはずだったが、委員の間で意見が分かれていた。島崎委員は、全ての委員の意見が一致すべきだとの考えを示し、大飯原発を停止しないまま調査を続け、結論が出るまでに長期化する可能性が出てきた。
この日の会合で、関電は、問題となっている「F−6」断層が、関電がこれまでに想定していた位置を従来より東にあったとデータを修正。また、長さも最大900メートルではなく、600メートルであったとの考えを示した。また敷地の北部にある台場浜付近のトレンチで複数見つかった地層のずれについて、いずれも地滑りと主張した。
当初から活断層の存在を懸念していた東洋大学の渡辺満久教授は「それは、理論的にないということでしょうか? 調べたけど、ないということでしょうか?」と質問すると、関西電力の担当者は「『全てを明らかにせよ』というのは、少なくとも科学的ではありません」と述べた。
活断層と地すべりという2つの考えが激しくぶつかりあう中で、島崎委員長代理は「慎重に調査をする必要がある」と追加のボーリングと調査を提起したが、これに対して、渡辺満久教授は「いつまでに決着をつけるんでしょうか」と質問。島崎委員長代理が「最終的な決着をどうするのか私の頭の中にはない.」と答えると、渡辺教授は「渡辺教授は「活断層の可能性がないと言っている委員はいない。大飯が稼働している状況で、その稼働について、活断層の危険性がないのか、スピード感を持って判断するのが、この委員会のミッションだと思う」と反論。
しかし、島崎委員長代理は「調査団が一致して結論を出したい」と理解を求めた。
調査団はこれまでの議論で、台場浜付近のトレンチで見つかった地層のずれについて、活断層とみなされる12万〜13万年前以降に動いた可能性が高いとの見解で一致。だが、原因は活断層か地滑りかで意見が分かれている。
こうした状況に対して、京都に拠点を置く「グリーン・アクション(代表 アイリーン・スミス)」など4団体が緊急声明を発表。「「断層活動によると否定できない限り」活断層と認めるべきという国の「手引き」に従えば、F−6及び指摘された破砕帯は活断層だと判断すべき」であるとして、原子力規制委員会に対し、大飯原発を直ちに停止するよう求めた。