東京電力福島第一原発事故の被害者や支援者らは28日、現在、基本方針策定中の法律「原発事故子ども・被災者支援法」に対して、一刻も早く基本方針策定をし実施をして欲しいと平野復興大臣に要望書を提出、政府と交渉を行った。
今回政府に要望したのは、原発事故の被害者や支援者などを含む25の市民団体。復興庁で平野達男復興大臣と面会し、汚染地域で暮らす人の「避難の権利」などを訴えた。また、福島県が12月28日で、県外への借り上げ住宅支援について新規受付を終了すると発表したことに対して、打ち切りをしないよう求める5218筆の要望書を提出。福島から福岡へ母子避難をした宇野朗子さんは、「避難をする人への支援が薄くなることに、大変危機感を感じている。避難を考えている人の状況を把握して欲しい」と訴えた。平野大臣は「意見を受け止め検討していく」としている。
原発事故子ども・被災者支援法は、汚染地域で暮らす人たちの「避難の権利」や子どもや妊婦の医療費を減額したり免除したりすることなどが盛り込まれており、市民や議員らの働きかけにより今年6月21日に成立。しかし、基本方針策定が遅れ具体的な支援はまだ行われていない。
平野大臣との面会後、市民と政府の直接交渉が行われた。
支援対象地域の基準は年間5ミリシーベルト?
市民らは原発事故子ども・被災者支援法の支援対象地域について、年間1ミリシーベルト以上の被ばくが推定される地域は、全て支援対象地域に指定欲しいと強く訴えたものの、これに対して、復興庁の水野靖久参事官は、「政府の中では、5ミリシーベルトという話も聞くが、どんな数字でも根拠を明確にしていかなければならない」と回答した。
被ばく量低減のための保養プログラムと移動教室
福島県内で暮らしている子どもたちの被ばく量低減のため、支援対象地域の学校単位、学級単位で放射線量の低い地域に移動して授業を受ける「移動教室」や民間の保養プログラムの支援などを求めた。水野靖久参事官は、どちらも重要性を認識して検討中とし、「移動教室の事業は、文部科学省の方で、24年度の予算を遥かに上回る数倍の予算要求を25年度にしている。文部科学省でも真剣に検討している」と説明した。
高速道路の無料措置
原発事故の被害者の高速道路の無料措置について、国交省の担当者は、「要望が多く、大臣から実施に向けて検討するように指示を受けている」と話した。
原発事故子ども・被災者支援法市民会議の代表 中手聖一さんは、「今回の選挙で被災者支援が争点になっていない。各党があまり力を入れておらず、孤立感、怖いと感じる。まだ事故からは2年も経っておらず、被害は続いている」と被災者支援への動きに注目して欲しいと訴えた。
関連リンク
原発事故子ども・被災者支援法市民会議
http://shiminkaigi.jimdo.com
「原発事故子ども・被災者支援法」基本方針に関する要望と提言
http://www.ourplanet-tv.org/files/121128_kihon.pdf
関連番組
2012年10月19日配信
「移動教室に復興予算を」〜福島・伊達の校長ら国に訴え
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1456
2012年6月14日配信
【被災者支援法】1ミリ目指す〜「避難の権利」へ大きな一歩
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1381