谷垣禎一法務大臣が12月12日に、2人の死刑を執行したことに対し、アムネスティ・インターナショナル日本など4団体が抗議声明を発表した。4団体は、死刑廃止へと向かう国際社会と真っ向から対立すると批判。死刑執行の停止と早急に社会的な議論を開始するように求めた。安倍政権下での死刑執行は4度目で8人に上った。
声明を発表したのは、アムネスティ・インターナショナル日本とNPO法人監獄人権センター、死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90、「死刑を止めよう」宗教者ネットワークなど死刑廃止を求めて活動している4つの市民団体。声明文では、世界の7割の国々で死刑制度が廃止されていることを説明。日本では死刑執行の判断基準や執行日が国民に秘密にされていることなども強く批判した。
アムネスティ・インターナショナル日本の若林秀樹事務局長は記者会見で、世界が人権週間を打ち出しているなかでの死刑執行であることを指摘。「今年の1年の漢字が『輪』と発表されたそうだが、国際社会が死刑廃止へ向かって努力している潮流のなかで、『輪』を乱す死刑執行だ」「今後も死刑執行を続けるという強い意志の表れ」と批判した。
今回、死刑が執行された藤島光雄(55歳)死刑囚は、刑が確定してから18年以上が経過している一方、加賀山領治(63歳)死刑囚は、刑の確定からわずか1年5ケ月弱で執行されている。藤島死刑囚の上告審を担当した秋田一恵弁護士は、藤島死刑囚が虐待を受けて育ったことや、再審請求をする予定だったことなどについて話し、「今朝いきなり死刑の知らせが来た。日本は死刑をいきなりやる。最後の別れもさせてくれない国は、どれくらいあるのか?」と訴えた。死刑が執行された人数は今回で計8人となり、去年の7人を上回っている。
死刑執行に対する抗議声明(アムネスティ・インターナショナル日本)
http://www.amnesty.or.jp/news/2013/1212_4371.html
関連リンク
2010年10月4日
閉ざされた死刑ー法務省と情報公開
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/658
2011年7月8日
「日本の死刑制度を考える」
ゲスト:遠藤賀子さん/アムネスティ・インターナショナル日本、死刑廃止ネットワーク会員
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1158
2013年3月15日
「日本は世界の流れに逆行」死刑停止を求め共同声明
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1554