環境省の除染サイト掲載「Fukushima Today」から引用(右から宮崎真氏、早野龍五氏、多田順一郎氏)
伊達市住民の被曝データを本人の同意なく論文に使っていた「宮崎早野論文問題」をめぐり、著者の宮崎真福島医科大学助手が、市議会が依頼した勉強会への出席要請を断っていたことがわかった。宮崎氏らは同意のあるデータを再解析したい意向を示しているが、市民を代表する議会の要請を辞退したことで、ハードルは高まった格好だ。
勉強会への出席を求めていたのは、伊達市議会の5つの会派。2015年1月から伊達市の市政アドバイザーに就任していた宮崎氏に書簡を送り、候補日を10日ほど提示した上で、勉強会への出席を要請していた。しかし、宮崎氏ではなく、福島医大が電話で返答。3月末で市政アドバイザーを退任したことなどを理由に出席を断ったという。
議会は、20日に開催する全員協議会に経緯を説明し、今後、どのように対応するか検討する。伊達市議会では今年2月、同論文を批判している高エネルギー加速器研究機構(KEK)の黒川真一名誉教授を迎え、同じような勉強会を開いていた。
放射能対策の市政アドバイザーはゼロに
同市では昨年度まで、放射線管理に関する市政アドバイザーは、宮崎氏のほか、同じ福島医大の宍戸文男教授、放射線安全フォーラム理事の多田順一郎氏、子ども未来研究センター代表理事の目黒実氏の計4人に委嘱していたが、放射線に関するアドバイザーは根本氏の一人となり、宮崎氏、宍戸氏、多田氏の3人は3月限りで打ち切った。一方、2013年に設置した「放射能対策管理委員会」は今も継続しており、宮崎氏は前年度に引き続き、同委員には就任しているという。次回は5月28日に開催される予定。