原子力規制委員会が管理している文書のうち、18,000件の所在がわからなくなっている問題で、原子力規制員会の更田豊志委員長は27日、「致し方ないというつもりはないが、努力した結果」だと釈明し、旧組織から10万件の行政文書を引き継いだことが原因であるとの考え方を示した。
原子力規制委員会では27日、当初、予定されていなかった「行政文書の管理状況について」と題する議題を急遽追加。電子政府窓口「e-Gov」で公開しているものの、所在が確認できていない文書ファイルが8,300件、「e-Gov」で公開せず、所在もわからなくなっている文書ファイルが9,100件、存在と報告した。
独法の文書を引き継いだことが一因と釈明
更田委員長は定例の記者会見で、「行政組織にとって、透明性や信頼性の確保の上で 文書管理というのが重要だと思う」としながらも、「原子力安全基盤機構(JNES)を取り込む形となり、調査の対象となる文書が非常に多くなった」などと釈明。独立行政法人だった組織を吸収する形になったので、文書管理のやり方やレベル感にも様々あり、旧組織から引き継いだ文書が負担になっているとの考えを示した。
さらに、引き継いだ10万件の文書を、1000人の職員で割ると、一人当たり100件になると持論を展開。「1000人の職員は審査をやり、「検査をやり、日常業務をやりつつということですので、文書管理の調査に当たる人間というのはどうしても限られるし、その作業量は膨大であっただろうと思う。」との感想を述べた。
規制委員会で配布された説明資料
文書管理適正化チーム発足から4年間報告なし
文部科学省、原子力安全・保安院等から行政文書ファイル約10万1,000件相当の文書を引き継いでいる原子力規制庁。2015年に文書の「行政文書ファイル管理簿を公表していなかったことが明らかになり、「文書管理適正化チーム」を設置し、年の2回、行政文書の点検を実施してきた。
この点検作業において、 旧組織から引き継いだ文書ファイルのリストと実際に引き継いだ現物との突合を実施。存在が確認された文書の文書ファイル管理簿を作成するなかで、18,000件の文書が確認できないことが判明したが、今年11月まで、委員長にも詳細を報告していなかったという。
OurPlanetTVが入手した内部資料
6100件はすでに消えている可能性
「これまで、公文書開示請求してきて「不存在」との決定が出た文書も、文書が見つかれば、「公開となるのか」
日頃から、原子力規制庁に公文書開示請求を重ねてきたジャーナリストらは、これまで「不存在」だった文書に中に、「実際には存在する文書」がある可能性があるのではないかとの質問に対し、
文書管理適正化チームの副チーム長の児嶋洋平総務課庁は、e-Govで公開されている9,300件は「どこかにはあるはずだ」とする一方、e-Govで公開されていない9,100件はすでに存在しない可能性が高いとの考えを示した。
存在が確認できない文書が大量に存在することについて、もっと早期に報告すべきではなかったのかとの指摘に対し、更田委員長は「組織としてお詫びする」と謝罪。今後、未確認の文書について、随時、ホームページなどで公表していくと述べた。一方、未確認の文書リストの公表はすぐには対応は難しいとして、リストの作成が可能か検討すると述べるにとどまった。また、新組織になってからの文書についても、不明文書をゼロにすることは難しいと回答した。