福島第一原発事故
2017/09/07 - 08:40

福島の甲状腺がん解明へ〜新潟県「健康分科会」検討開始

「東京電力福島第一原子力発電所事故の徹底的な検証がなされない限り、柏崎刈羽原発の再稼働はない」
 
新潟県の米山知事が選挙公約に掲げていた福島第一原発事故を検証する3つの検証委員会がいよいよスタートした。福島原発事故からちょうど6年6ヶ月目にあたる9月11日に初会合が開かれたのは、米山知事のカラーが最も強いとされる「健康・生活委員会」。米山知事は冒頭で「(福島事故について)きちんとした総括をここでしないでいつするのか。」と発言。3〜4年かけて、福島原発事故に関する徹底検証を行い、出された検証結果は、福島県をはじめ、原発立地県、全国、世界で共有したいと強調した。
 
米山知事の挨拶と「健康・生活委員会」

 
11日開かれた「健康・生活委員会」は、米山知事が公約に掲げた福島第一原発事故の「事故原因の検証」と「避難方法の検証」に並ぶ3検証委員会のひとつで、福島原発事故による健康や生活への影響を検証する。委員長には新潟青陵大学副学長で、感染症などの公衆衛生を専門とする鈴木宏教授、副委員長には、新潟大学副学長で、被災者コミュニティなどを研究している松井克浩教授が就任した。
 
健康分科会では「県民健康調査」を検証
この日は、「健康・生活委員会」で委員会の趣旨を説明した後、「健康分科会」と「生活分科会」の2つの分科会に分かれ、議論の進め方について意見交換を行った。放射線被曝による健康影響を検証する「健康分科会」では、福島県が行っている県民健康調査の検証に加え、文献調査を実施するかどうか。また検証範囲をどこまで広げるかなどをめぐり、委員の間で活発な議論が交わされた。
 
健康分科会

 
福島県民健康調査をめぐっては、注目を集めている甲状腺がんに関する評価も行うこととしており、委員のひとり、木村真三獨協大学准教授は会議後のインタビューで、福島県医大が公表していない「経過観察中」のデータや手術症例なども開示を求めていく考えを示した。次回の開催は、12月以降となる見込みで、必要の応じて、委員以外の専門家も招致するという。
 
木村真三委員のぶら下がり

 
配布資料
http://www.pref.niigata.lg.jp/shinsaifukkoushien/1356877690191.html
  

「新潟県原子力発電所事故による健康と生活への影響に関する検証委員会」
 
健康分科会 
 青山英史(新潟大学医学部 教授)放射線医学
 秋葉澄伯(鹿児島大学 名誉教授)疫学・公衆衛生学
 木村 真三(獨協医科大学 准教授)放射線衛生学
◎鈴木 宏(新潟青陵大学 副学長)疫学・公衆衛生学
○中村 和利(新潟大学医学部 教授)疫学・予防医学
 
生活分科会 
 丹波史紀(立命館大学産業社会学部人間福祉専攻准教授)社会福祉
◎松井 克浩(新潟大学副学長・人文学部教授)社会学
 松田 曜子(長岡技術科学大学環境社会基盤工学専攻准教授)防災学
 除本 理史(大阪市立大学大学院教授)環境経済学

 


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