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「生涯見守り」から「疫学研究へ」〜甲状腺検査見直し提言

投稿者: ourplanet 投稿日時: 水, 12/17/2014 - 05:35
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原発事故に伴う住民の健康調査に関して検討している環境省の専門家会議は18日、中間報告書をまとめた。報告書では、福島原発事故による「放射線被ばくによって何らかの疾病のリスクが高まる可能性は小さいと考えられる」とした上で、福島県内の甲状腺検査について見直しを提言。また福島県外での健診は必要ないと結論づけた。
 
原発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 中間取りまとめ
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-14/mat01.pdf
 
「生涯見守り」から「疫学研究へ」転換へ
原発事故当時18歳以下だった子ども36万人を対象に実施している甲状腺検査について、同報告書は、「今後も継続しているべきものである」としながらも、「被ばくが少ないと考えられる住民を含む広範囲の住民全体に引き続き一様な対応を行うことが最善かどうかについては議論の余地がある」と記載。その上で、WHO報告書などでも言及されている疫学的追跡調査として充実させるべきだと提言した。
 
福島県内の甲状腺検査は、「生涯にわたり皆様の健康を見守ります」をキャッチフレーズに、県民の不安解消や早期発見早期治療を主眼においてきた。しかし、この半年、放射線影響について疫学的な立証ができないといった批判や100名を超える悪性・悪性疑いが出ていることについて、「過剰診断」との批判が強まっていた。こうした中、専門家会議は、これまで全ての子どもを対象としてきた検査の対象範囲を縮小させ、コホート研究として臨床データの収集を拡充すべきとする方針を示した。
 
福島県外の健診はなし
会議の当初の目的だった福島県外における健診についても、「福島県内の避難区域等よりも多くの被曝を受けたとは考えにくい」と必要性を認めず、「個別な健康相談やリスクコミュニケーションを通じて、情報を丁寧に伝えることが重要」だとした。また、実施については、福島県の「甲状腺検査」の状況によって決定するとしている。
 
「中間とりまとめ」は「最終とりまとめ」
これまでの会議では、一部の委員から度々、「子ども被災者支援法」にのっとり、健診と医療支援に特化した会議を省庁連携した上で設置すべきだとする意見が出されてきた。前回の会議でも、日本学術会議の春日文子委員から、「に省庁間を超えた後継会議を即座に設置すべき」との発言がなされたが、報告書に「意見があった」と記載されているのみで、提言としては盛り込まれなかった。
 
報告書では、の方向性について「県民健康調査等の動向を中止し、省庁関連系の上でデータの収集や評価に務め、幅広い観点から科学的検討を行うべきである」と結んでいる。事務局側も、福島県民健康調査の甲状腺検査で「多発」が認められない限り、新たな検討は行わないとしており、今回の「中間とりまとめ」が事実上の「最終とりまとめ」となる。
 

 
来週「事業案」が公表されパブコメへ
 
子ども被災者支援法にのっとり、昨年11月から1年にわたって開催された専門家会議。「中間とりまとめ」が了承された最終会合は、傍聴者を入れないかたちでの異例の開催となった。もともとは、福島県外の健診をテーマに議論するとの建前だったが、その大変を線量推計に費やし、異論を挟めないような強引な会議運営により、8月には、住民らが長瀧座長の解任を要求。また、抽選名目で、一部の傍聴者を閉め出すなど、運営手法も批判の的となってきた。
 
傍聴に参加できなかった「子どもたちを放射能から守ろう関東ネット」など3団体は会見を開き、環境省を批判する声明を発表した。共同代表・木本さゆりさんは、「健診をして欲しいといい市民の声、批判的な声を押さえ込もうという意志を感じる」と会議を批判。また国会事故調の元委員で高木学校の崎山比早子さんは、「本来は傍聴だけでなく、住民を参加させて、声をきくべきだ」と強調した。
 
環境省は来週にも、専門家会議の提言をもとに事業案を公表する。事業案はパブリックコメントにかけられる予定。その後、予算案が確定する見込みだ。
 
【会議に関する動画、記事】
環境省「被曝影響会議」撮影禁止の方針〜副大臣は再検討と発言(2013年12月19日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1704
第1回住民の健康管理のあり方に関する専門家会議(2013年11月11日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1675
住民ら「結論ありきのメンバー」と批判〜環境省健康調査専門会議(2013年11月1日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1670
第3回 住民の健康管理のあり方に関する専門家会議(2014年2月
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1733
がんリスクめぐり激しく応酬〜第4回健康管理のあり方会議(2014年3月)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1754
第5回 原発事故に伴う住民の健康管理〜国連科学委報告もとに対応へ(2014年5月)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1769
第6回 原発事故に伴う住民の住民の健康管理のあり方に関する専門家会議(2014年5月)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1780
福島県外の健康診断に消極的〜放射線専門家会議(2014年6月26日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1800
参考人「健康調査や線量評価の抜本見直しを」環境省会議(2014年7月16日))
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1806
ホットスポットの母親「座長解任」直訴〜環境省専門家会議(2014年8月6日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1816
福島県「甲状腺がん検査」めぐり激論〜環境省専門家会議(2014年8月28日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1823
福島県外の健診めぐり激論〜環境省専門家会議(2014年9月24日) 
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1835
県外は検査せずにリスコミで〜傍聴席から非難殺到(2014年10月20日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1845
委員と傍聴者が怒鳴り合い~環境省専門家会議(2014年11月26日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1859
 



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