福島第一原発事故
2013/02/13 - 22:44

福島県甲状腺検査~3人が甲状腺がん、7人悪性疑い

 
東京電力福島第一原発事故の発生当時18歳以下だった子どもを対象に実施されている福島県の甲状腺検査で、新たに2人が甲状腺がんと診断されたことが、13日の県民健康管理調査の検討委員会で報告された。昨年9月に判明した1人と合わせ、甲状腺がんと診断された子どもは3人になった。このほか、7人に甲状腺がんの疑いがあり、追加の検査を行う。
 

 
今回、公表されたのは、2011年(平成23年)に先行して甲状腺検査をおこなった13市町村の3万8114人の調査結果。二次検査の対象となったB判定の186人のうち、これまでに151人の検査が終了しているが、そのうち、細胞診断が必要となった85人中10人に悪性または悪性の疑いがあると診断された。更に、この10人のうち、昨年9月に甲状腺がんと診断された1人を含む計3人が甲状腺がんであることが確定した。3人は、既にがんの摘出手術を終え、通常の日常生活を送っているという。
(資料:「甲状腺検査」の実施状況及び検査結果等について
 
細胞診断で悪性または悪性の疑いと診断された10人の内訳は、男性3人、女性7人で、平均年齢15歳。居住地域や外部被曝線量などの情報は公表されなかった。甲状腺がんかどうかが分かっていない7人の確定診断は、摘出手術の後になるという。細胞診断の誤差は上下10%。最大10人ががんと診断される可能性も残っている。なお、昨年11月にC判定とされた1人については、2012年度(平成24年度)の受検者なため、今回の10人には含まれていない。
 

 
検討会後の記者会見で福島県率医大の鈴木真一教授は、「チェルノブイリで甲状腺がんが発症が増加したのは、原発事故後4〜5年経ってから。元々あったものを発見した可能性が高い。(原発事故との因果関係は)考えにくい」と語った。鈴木教授や検討会では、これまで、子どもの甲状腺がんの発生頻度は100万人に2人程度と説明していた。また、チェルノブイリで、甲状腺がんヨウ素被曝によるとの因果関係を証明した福島県立医大山下俊一副学長は、自身の論文と矛盾するのではないかとの質問に対し、今回のような精度での疫学調査は前例がなく比較できないと回答した。
 
福島県の甲状腺検査は約36万人の子どもを対象に実施している。環境省は福島と他地域の子どもたちを比較するため、青森県などで約4500人を対象に検査を進めており、3月下旬以降公表する予定だ。
 

 
県民健康調査検討会では、このほか、福島県民の調査データをデータベース化する計画(資料:「県民健康管理調査データ管理システム」概要)や、秘密会の開催などによって失われている信頼を取り戻すために、同検討会を見直しを行う(資料:「福島県『県民健康管理調査』検討委員会」のあり方等の検討について)ことなどが報告された。同検討会は、元長崎大学の山下俊一教授が座長が務めているが、山下氏が県から委託を受け調査する県立医大の副学長と、委託元である県の検討委座長を兼任していることについて、山下氏は、「私がこの場にとどまるのは不適切だと思う」と述べ、退任する意向を示した。検討会の見直しは、県が行う。
 
配布資料
1)議事次第、出席者名簿、座席表など
2)県民健康管理調査「基本調査」の実施状況について
3)「甲状腺検査」の実施状況及び検査結果等について
4)平成23・24年度県民健康管理調査「健康診査」の実施状況について
5)「こころの健康度・生活習慣に関する調査」について   
6)平成24年度「妊産婦に関する調査」実施状況について
7)「県民健康管理調査データ管理システム」 概要
8)「福島県『県民健康管理調査』検討委員会」のあり方等の検討について
資料の一括ダウンロード
 

 

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