東京都が民間業者に対し、129億円で売却する予定の五輪選手村の建設用地が、不動産鑑定を行ったところ、1611億円に上ることが分かった。売買契約は違法だとして都を訴えている住民らの調査で判明した。鑑定結果は裁判に提出した。
今回、鑑定が行われたのは、銀座から3キロほどの距離にある選手村建設地13.4万平方メートルの地価。五輪開催中は選手村となるが、跡地は大手不動産会社11社が都から土地と建物を譲り受け、1万人規模の住宅開発を行うことになっている。土地の売却費用は129億円で、今回、公表された不動産鑑定価格の実に12分の1にすぎない。
不動産鑑定を実施した「晴海選手村を土地投げ売りを正す会」弁護団の大住広太弁護士は、「異常に安い価格で払い下げられているのが大きな問題。東京とは、鑑定評価書を提出せず、一社から得た報告書に基づいてこの129億円という金額を算出している。鑑定評価結果報告書で1611億円とされた土地を129億円で売却するというのは、相応の説明が必要だ」と指摘。また同会代表の中野幸則さんは、「結果的に都民に都民に莫大な被害を押し付けている。まともな情報公開は行われず、都合の悪いことは隠す体質がある」と述べ、都民に開かれた都政になるように努力したいと力を込めた。
選手村予定地(2017年撮影)
五輪後の完成イメージ図(業者が提出)