福島県は9月28日、福島県民健康調査で甲状腺がんと診断された患者などへ医療費を助成する「甲状腺検査サポート事業」について、交付要件を見直し、対象を広げる方向で要項の見直しを行っていることを明らかにした。佐藤保健福祉部長が県議会の福祉公安委員会で答弁した。
甲状腺サポート事業は、県の甲状腺検査を受け、2次検査で甲状腺がんの恐れがあると診断された子どもに対して医療費の自己負担分を助成する制度で、2016年7月にスタートした。これまでは、県が指定した「2次検査実施医療機関」を受診することが交付条件だったが、その要件をなくす方向で要項の見直しを行っていると回答した。7月の議会で、いわき選出の古市三久議員が見直しを求めていた。見直しの時期は明らかにしていない。
人数の把握になお課題
一方、サポート事業で医療費の交付を行った対象者の中に、検討委員会で報告されている集計結果から漏れている患者がいるかどうかについては、「医大以外の診療事例もあるが公表していない」と回答。これに対し、古市議員は、福島医大以外での手術が2割あり、福島労災病院や星総合病院、藤田総合病院で実施されていると県職員から聞いた人がいると指摘し、県議会でも報告するよう求めた。
古市議員はこのほか、被曝線量や地域差が出ていることやデータの把握や経過観察症例の追跡について約1時間半にわたって質問。2016年3月に検査が終了している2巡目の分析についても、早期に着手し、来年の1月くらいまでに取りまとめるよう要求した。しかし、県の回答は「検討委員会」と「甲状腺検査評価部会」で検討中との繰り返し。保健福祉部長が「県が独自な見解を表明するのは客観性に欠ける」「甲状腺がんと被曝の因果関係について、県の責任で発信するのはにが思い」と述べルト、古市議員は検討委員会や福島医大の招致に言及。また県での調査を返上し、国での実施を求めてはどうかと提案した。