10年以上、引き出しが行われない「休眠預金」。700億円にものぼるこの「休眠預金」を民間団体が活用できる法律「休眠預金等活用法」が今年1月に施行された。法律では、子どもや若者、社会的弱者の支援を行う民間活動に充てられることになっているが、実際の現場で有効に生かすことができるのかが課題となっている。「休眠預金」の運用に懸念を抱くNPO団体などが26日、文京区で緊急フォーラムを開いた。
緊急フォーラムを呼びかけたのは、全国のNPO支援組織10団体と市民活動に取り組む個人らで作る「現場視点で休眠預金を考える会 実行委員会」。フォーラムではまずNPO法人まちぽっとの事務局長・奥田裕之さんが登壇し、国が3月に定めた基本方針の内容について解説。国が定める「指定活用団体」に多くの裁量や権限が集中する、市民の声が全く反映されない制度になってしまったと述べた。基本方針策定の過程で、NPO法人などから168件にのぼるパブリックコメントが寄せられたが、審議会では一切議論されなかったという。
また助成を受ける条件に、「社会的インパクト評価」や「成果の可視化」が条件となっていることを問題視。規模が大きい団体ばかりが助成対象になり、地道な地域の活動が対象から外れてしまう可能性があると懸念を表明した。
後半はパネルデスカッションでは、新議会の委員だった関係者も参加し、「休眠貯金」の運用面の課題について意見を交換を行った。外国人の子どもの学習支援や被災者支援などに取り組んできた茨城NPOセンター・コモンズの代表理事の横田能洋さんは、やはり「社会インパクト」が受け取り条件となったことを批判。「成果は数字では表せない。多様な尺度がなければ、制度外のことをやる人が減り、セーフティネットが減っていくのではないか」と、休眠預金制度によって助成を受けにくい市民活動の低下を懸念した。
700億円とも言われる休眠預金の配分に大きな裁量を持つ「指定活用団体」は10月1日から5日までが公募受付期間となり、年内に決定される。
報告資料・参考資料
資料の説明
[資料1]NPOまたは非営利セクターの資金の現状
[資料2-1]休眠預金に関連した国と民間のこれまで動き
[資料2-2]休眠預金に関する概要
[資料3]休眠預金等活用審議会における検討プロセスの問題点
[資料4-1]第12回休眠預金等活用審議会 議事録<抜粋>
[資料4-2]「休眠預金等交付に係る資の活用関す基本方針」(案)ついて意見(NPO 支援センター有志一同)
[資料4-3]「休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針(案)」についての意見募集の結果(別紙)
[資料5]「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」に基づく指定活用団体公募要領
補足資料など
第1部「基本方針と指定活用団体公募要領から読み取る、休眠預金の可能性とリスク」実行委員によるまとめ
http://www.jnpoc.ne.jp/download/20180726kyumin/matome.pdf
休眠預金等活用審議会
http://www5.cao.go.jp/kyumin_yokin/shingikai/shingikai_index.html
休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本方針
http://www.jnpoc.ne.jp/download/20180726kyumin/kihonhoushin.pdf
民間公益活動促進のための休眠預金等活用(内閣府のページ)
http://www5.cao.go.jp/kyumin_yokin/index.html