小児甲状腺がん
2017/03/31 - 10:58

未公表の4歳児へ給付〜甲状腺がん子ども基金

甲状腺がんの子どもを支援しているNPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」は31日、福島県の公式データには含まれていない事故当時4歳児に、療養費を給付したと発表した。同基金の崎山比早子代表理事は、「現在、福島県で公表されているデータは、福島県で発症している小児甲状腺がんの一部にすぎないと強く認識した。」と批判している。

基金によると、子どもは事故当時4歳の男児で、福島県民健康調査の2巡目の検査で2次検査を受診。経過観察を経て、2015年に穿刺細胞診で悪性と診断されたという。昨年の前半に、すでに甲状腺の摘出手術を終えている。

事故当時4歳の症例は、県民健康調査のデータとしてこれまで公表されていない。このため、同基金は給付に先立ち、県民健康センターに照会したところ、センターからは「2月20日の発表に間違いはなく、該当される方はいない」との回答があったという。さらにセンターは30日、ホームページを更新し、経過観察に移行している子どもは、県に報告しているデータに含まれていないことを認める内容を掲載した。

甲状腺検査のあり方を議論している福島県民健康調査「検討委員会」は昨年3月、小児甲状腺がんの多発は「放射線の影響とは考えにくい」とする「中間とりまとめ」を公表。その理由のひとつに「事故当時5歳以下の子どもがいない」ことを挙げていた。また昨年12月には、日本財団が主催した国際会議を受けて、福島県立医大副学長の山下俊一らが、福島県知事に提出した「検査縮小」を求める提言書でも、0歳から4歳の子どもがいないことが、「甲状腺がんの多発は被ばくの影響とは考えにくい」とする根拠の一つにあげていた。

これについて、崎山氏は「低年齢の方にがんが増えていないことが、放射線の影響が考えにくいという根拠の一つになっていた。しかし、今回のように2次検査で保険診療に移行し、経過観察している方が2500人いる。この中にも手術した人がいるかもしれない。それが分からない状態になっており、非常に問題がある」と述べた。

3・11甲状腺がん子ども基金は昨年12月から、甲状腺がんの子どもに療養費の給付を開始。2月末までの4ヶ月間に、計72人に830万円を給付した。これまでの給付状況は以下の通り。


※RIはRI治療(アイソトープ治療)適応患者の人数

参考リンク
中間とりまとめ(2016年3月)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/158522.pdf

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