パワハラや長時間労働などの法令違反など、従業員に過酷な労働を強いている企業を選ぶ「ブラック企業大賞2016」のノミネート企業が12月1日、発表された。名前があがったのは、電通やプリントパック、日本郵便など10社。12月23日の授賞式で大賞が発表される。
今年、ノミネートされたのは、棚卸し代行業者の「エイジス」「電通」「ドン・キホーテ」「プリントパック」「関西電力」「佐川急便」「和食さと」など飲食店を全国展開する「サトレストランシステムズ」「宗教法人・仁和寺」、デイサービス「茶話本舗」のFC企業「ディスグランデ」「日本郵便」の10社。12月1日から22日午後5時まで、インターネットによる一般投票も受け付ける。
実行委の竹信三恵子和光大教授は、今回のノミネートについて、長時間労働による過労死などが多かったと分析。これまでの日本のおける労働慣行が可視化されつつあると述べた。また、同じく実行委員会の佐々木亮弁護士は、「この20年間でブラック企業は確実に増加した」としながらも、ここ数年は、リストラや追い出し部屋といったケースより、「退職させてもらえない」「入社したら条件が違っていた」などという相談が増えていると指摘。人手不足による質的な変化が起きているのではないかと述べた。
「ジャニーズ事務所」は見送り
会見の中で、実行委員会の事務局を担っている内田聖子アジア太平洋資料センター事務局長は、今回、「ジャニーズ事務所をノミネートしてほしい」というハガキやメールが実行委員会宛に多数届いていることを明らかにした。内田氏は、アイドルグループ「SMAP」のファンが、ジャニーズ事務所と「SMAP」のマネージャーのトラブルや解散騒動を受けて、ファンなどが送ってきているのではないかとしたうえで、「SMAPに限らず芸能界のタレントと事務所の労働問題であると認識している」として、実行委員会として重く受け止めていると説明。しかし、「裁判や行政処分などで問題があると明らかになった企業」などの選定理由と照らし合わせて、ノミネートは見送ったとした。
ブラック企業大賞は、労働相談に取り組んでいる弁護士や労働組合、ジャーナリストなどでつくられた実行委員会によって選定され、今年で5回目。第1回目の大賞は「東京電力」、2回目は@「ワタミフードサービス」、第3回目は「ヤマダ電機」、第4回目は「セブン-イレブン・ジャパン」が大賞に選ばれている。
ブラック企業大賞のサイト(インタ—ネット投票受付)
http://blackcorpaward.blogspot.jp