東京電力福島第一原発事故後、甲状腺がんと診断された子どもなどを支援するための基金が設立され、9日寄付の募集を開始した。
募金を開始したのは「3・11甲状腺がん子ども基金」。代表理事には元国会事故調査委員会委員の崎山比早子さんが就任した。記者会見で崎山さんは、「がんになった子どもとその家族が声をあげにくい空気が醸し出されている」と述べ、一人でも多くの甲状腺がん患者を救済したいと抱負を語った。
原発事故後、福島県では事故当時18歳以下だった子どもを対象に検診が行われ、172人が甲状腺がんまたは疑いと診断されている。そのうちの131人が手術を受け、中には再発や転移なども起きている。基金はこうした現状から患者を経済面から支援するほか、相談活動などを通じて精神面からも支援していくという。
9月9日から寄付寄付の受け付けを開始し、11月以降に甲状腺がんの子どもに対する「療養給付金」の申請を開始する。呼びかけ人には、元首相の小泉純一郎氏や細川護煕氏、作家の雨宮処凛氏ら多くの著名人が名前を連ねている。
副代表理事の武藤類子さん(福島原発告訴団団長)は「この基金の設立によって日本中の人たちに甲状腺がんの子どもたちの存在を知ってもらい、原発事故の健康被害についてみんなが考えるきっかけになればいい」と話す。
9月17日午後2時から、東京都北区の北とぴあ・つつじホールで設立記念シンポジウムがある。特別顧問に就任した菅谷昭松本市長がチェルノブイリ原発事故での経験を講演する。