日本スポーツ振興センター(JSC)は22日、2020年東京オリンピック・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場について、建築家の隈研吾さんらと大成建設が提案していたA案を採用すると発表した。業務の実施方針や工期の短縮などの評価が高かった。
今回の選定にあたり、JSCは、建築家ら7人の専門家による技術審査委員会を開き、「業務の実施方針」「コスト・工期」「施設計画」などの9つの項目を980点満点で採点した。結果、A案が610点、B案が602点で、A案が僅差で採用された。
審査結果
B案は9つの項目のうち、維持管理費抑制やユニバーサルデザインなど5つの項目で、A案より高い得点をしたが、配点の高い「工期短縮」で、A案177点、B案150点と27点の差が出た。しかし、A案もB案も、完成時期を2019年11月30日としており、A案がなぜ優位なのか具体的な内容は明らかにされなかった。
一方、旧計画で高騰した事業費の削減は、210点満点に対し、A案が31点、B案は28点と極めて低い評価。選定されたA案の総工費は1489億円。施工を担当する大成建設の山内会長は、懸念される工事の人件費の高騰について、「国土交通省と一緒になって、外国人労働者の導入について積極的に対応していきたい」と述べた。
A案のイメージ図(日本スポーツ振興センター提供)
7月に撤回されたザハ氏の案でキールアーチと呼ばれる屋根が批判を受けたことを意識してか、建築家の隈さんは会見で、屋根がザハ案より高さを20メートル低く抑え、木材を使用している特徴を説明。「建物の形で突出するのではなく、周辺の森と融合した建築が日本らしさになる」と述べた。
新国立競技場の建設問題に取り組む市民グループ 「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」は今回のを受け、23日、信濃町で緊急勉強会を開く。
関連サイト
JSC「新国立競技場整備事業 優先交渉権者の選定結果」
http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Tabid/497/Default.aspx