福島第一原発事故
2014/07/31 - 13:57

東電元会長ら3人「起訴すべき」検察審査会

原発事故の刑事責任をとって欲しいー。
被害者の思いを汲み、検察審査会は31日、東京電力の勝俣元会長ら旧経営陣のうち3人について「起訴すべき」との議決を公表した。

福島原発事故をめぐっては、福島県の住民らが2012年3月「福島原発告訴団」を結成。地震や津波対策を怠って事故を発生させ、住民を被曝させたなどとして、東電の勝俣恒久前会長をはじめ、経産省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長、原子力安全委員会の班目春樹委員長ら33人の刑事責任を追及するため、同年6月、県民1400人が福島地検に告訴状を提出した。その後、全国各地に参加を呼びかけ、告訴人は1万3000人に膨れ上がり、東電の強制捜査を求めてきた。

2012年6月11日「福島の1300人が告訴状提出~東電会長ら33人」

しかし、検察は昨年9月、「今回の規模の地震や津波を予測するのは困難だった」と全員の不起訴処分を決定。これを受けて、住民らは翌10月、検察の処分は不当だとして、告発対象をより責任の重い6人に絞り込んで、検察審査会に申し立てていた。

これに対し、東京第五検察審査会は23日、6人のうち、勝俣元会長、武藤栄元副社長、武黒一郎元副社長の3人について、「起訴相当」と議決。小森明生常務は「不起訴不当」との議決を出し、31日に公表した。理由について審査会は「地震や津波という事前現象に、いつ、どこで発生するかまで予見することは不可能である」とした上で、だからこそ、「原子力発電所を扱う事業者として、安全性確保のための対策をとることが必要である」などとし、「安全神話の中にいたからということで、責任を免れることはできないと考える」と断じた。

この議決を受けて、「福島集団告訴団」の団長、武藤類子さんは、「6人全員ではなかったが、大変よかった。被害者への思いを汲み取ってもらい、妥当な決定を出してくれたことに感謝したい。福島ではまだ事故は継続しており、被害者はまだまだ苦しんでいる。検察はこの議決を受けて、必ず強制捜査をして欲しい」とのコメントを発表した。

また告訴団の代理人の河合弘之弁護士は「今回の決定は市民の常識にかなった決定である。特に、原発の安全策に実質的な権限のあった勝俣氏の責任を認めた意義は大きい。市民感情に即した議決の内容だ」と検察審査会の決定を高く評価した。また、同じく代理人の保田行雄弁護士は「福島県内では今、健康被害が広がりつつある。甲状腺がんを含め、健康被害がこの事故の本質的な被害である。この議決は、健康被害の刑事責任の追及にも大きな励ましになる」と述べた。

今回の議決を受け、検察は改めて捜査したうえで起訴するかどうか判断することになる。もし再捜査の結果、検察が再び不起訴にした場合も、「起訴すべき」とした3人については、検察審査会が「起訴すべきだ」する2回目の議決を出した場合、強制的に起訴される。

検察審査会の議決の要旨
http://www.ourplanet-tv.org/files/20140731.pdf
福島原発告訴団
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/

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