小児甲状腺がん
2014/03/01 - 22:22

「甲状腺検査は過剰診療か」がん増加で激論〜福島健康調査

 
福島第一原発事故に伴う福島県民健康管理調査の甲状腺検査について、専門的な観点から検討している評価部会が3月2日、福島市内で開催され、甲状腺がん手術が33例実施されている現状にをめぐり、現在の検査方法が妥当なのかどうかなど、激しい議論が交わされた。。
 
甲状腺がん診断の急増は「過剰診療」で激論
評価部会ではまず、県から検診結果の説明があり、去年の12月31日までに、甲状腺がんの悪性または悪性疑いと診断されている子どもが74人にのぼり、33人が手術を受けていることが報告された。
 
これに対し、国立がん研究センター がん予防・検診研究センター長の津金 昌一郎教授ががん健診と過剰医療に関する世界的な動向を紹介。「死亡率とは相応しないがん罹患率の急激な増加が国際的にも大きな問題となっている。例えば、韓国の甲状腺がんの罹患率は 2000 年以降急増し、今や、女性では乳がんを遥かに上回る最頻のがんとなっているという現状がある。検査の利益と不利益をきちんと検証すべき」との主張した。
  
東京大学大学院 医学系研究科国際保健政策学教室の渋谷健司教授も、現在の健診方法では被ばくとの因果関係を証明するのは難しく、しかも過剰診療となっている恐れがあると指摘。厚生労働省のがん登録が義務化されるため、それに基づいて検証べきではないかとの考えを示した。
 
これに対し、福島県の甲状腺検査を統括している福島県立医大の鈴木真一教授は「住民の不安を解消するための検査である」として、同検査の継続が必要であると反論。また、清水一雄座長も、「スクリーニングの過剰診断か過剰診断でないかは判断が難しい。患者にとっては命に係わることで、本人にとっては100%。だから健診は大事」と述べた。
 

 
甲状腺がん手術の医療費 
また、現在の県民健康管理調査のスキームの中には、甲状腺がん手術が含まれておらず、子どもが穿刺細胞診で悪性または悪性疑いとの診断を受けた後、甲状腺がん手術をする際には、一般の保健診療となっている問題点も浮上。データが十分に共有されないうえ、18歳以上は医療費もすべて個人の負担になっているとして、健康調査のスキームに含め、国が責任をもって支援すべきだとの意見が、複数の専門家から示された。
 
座長で、日本医科大学内分泌外科大学院の清水一雄教授は、「がんが小さい場合、内視鏡を利用した手術をすれば、傷も残らない。すでに700例を実施しているが、まだ保険診療になっていないが、ぜひ、国の支援で、子どもたちに傷の残らない手術をできるようにしていくべきだ」と話した。
 
配布資料
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/260302siryouikkatu.pdf
 
ノーカット版

 

 

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