福島県立医科大学と国際放射線防護委員会(ICRP)は19日、事業協力で覚書を締結した。福島から世界に発信されている情報は必ずしも正しいものばかりではないとして、福島医大とICRPとの関係をさらに発展させ、情報共有や発信などを強化する。
この覚書の締結は、2011年秋から、ICRPが福島県内でシンポジウムや住民との「ダイアローグ」などを開催する際に、福島医大が協力してきた実績をもとに、関係性を明文化したもの。ICRPが福島医大の関係者に対して、防護体系に関するアドバイスを提供するなどの協力を行う一方、福島医大は福島県民健康管理調査の結果を、ICRPのネットワークを使って情報発信し、国際的な理解を促進させたいとしている。また、ICRPは、福島原発事故の経験をもとに、新たな防護体系の構築することも視野に入れる。
締結式では、福島医大の菊地臣一理事長兼学長とICRPのジャック・ロシャール副委員長が覚書に署名。阿倍正文副学長兼放射線医学県民健康管理センター長と同センター国際連携部門の丹羽太貫特命教授が同席した。菊地理事長は「国際防護の世界的権威であるICRPのネットワークを活用し、世界と連携していきたい」と述べ、ロシャール副委員長は「福島の人々のために力を尽くす」と述べた。
会見では、記者から、締結によって何が変わるのかといった質問が相次いだが、ロシャール副委員長は「この締結によって、ICRPが具体的な取組みをすることはない」と回答。福島の経験を生かして、新たな防護体系を構築したいと述べた。
<配布資料>
福島県立医大とICRPとの覚え書き(日本語)
http://www.ourplanet-tv.org/files/jpn.pdf
MEMORANDUM OF AGREEMENT BETWEEN FMU AND ICRP (Englsh)
http://www.ourplanet-tv.org/files/en.pdf
覚書締結後のジャック・ロシャール氏の会見