(副大臣が支援策に「福島県が反対」と発言した「子ども被災者支援法基」東京説明会)
去年12月28日に打ち切られた、災害救助法による「借り上げ住宅」の新規受付打ち切りをめぐり、OurPlanetTVは、復興庁が厚生労働省に対し、早期に支援策を打ち切るよう求めていたことを示唆する文書を入手した。
入手したのは、福島県と厚生労働省の間で行われた「借り上げ住宅の新規受付中止」をめぐる協議の記録など複数の文書。これによると、去年8月23日に開催された厚生労働省と福島県の打合せ会合の席上で、厚生労働省災害救助・救護対策室長の西川隆久室長が「復興庁サイドから「福島県民の福島への帰還を促進しなければならないのに、厚生労働省は何をやっているのだ。福島県に任せるのではなく、厚生労働省が泥をかぶってやれ」と言われている」と記載されており、厚労省が施策の終了を復興庁に強く促されていた可能性がある。
「借り上げ住宅」の新規受付打ち切りについては、これまで、県は「国(厚生労働省)から再三要請された」と説明する一方、厚労省は「打ち切りを決めたのは県であり、県の意向を尊重している」と主張。双方の言い分が食い違っていた。しかし、今回入手した文書によると、その背後に、福島への帰還促進を求める復興庁が存在があることが明らかになった。
8月9日に開催された打合せで、復興庁は、災害救助法での対応を求める福島県に対し、自主避難については東電へ賠償請求するよう主張。この件に関する福島県との協議の打ち切りを求めていた。また8月23日の会合では、福島県の担当者が、打ち切りまでの周知期間を長くして欲しいと要望すると、厚労省の西川室長は、周知期間を長くすると「復興庁に怒られてしまう」と理解を求めていた。
借上げ打ち切りは「帰還をすすめたい福島県への配慮」!?
一方、この問題について、復興庁の浜田昌良副大臣は9月13日、東京で開催された「子ども・被災者支援法」基本方針(案)に関する説明会で、去年12月に住宅支援を打ち切ったのは「帰還をすすめたい福島県への配慮」と説明。「借上げ住宅」の新規受付を再開について、持ち帰って帰って検討すると述べた。
福島原発事故後の避難や除染、帰還等をめぐっては、国と自治体幹部の協議は、多くの場合、議事録などが情報開示されておらず、調整内容がほとんど明らかになっていない。
自主避難者の借上げ住宅をめぐる国と福島県の協議資料など一式(93枚)
http://www.ourplanet-tv.org/files/hinanshashien.pdf